2、忘れない記憶
第4話 小学校時代の姐御
七水の実家の状態。
思った以上に悲惨な.....家庭だった。
俺は.....自惚れていたのかも知れない。
母子家庭だから貧乏だとか.....クソ馬鹿にも程が有る。
本格的に恥じるべきだった。
ゆっくりしていって下さいという七水の事を配慮し、遠慮してから。
俺はゆっくり帰宅していた。
馬鹿だな俺は.....。
本当に馬鹿野郎だと思う。
考えながら.....マンションに足を進める。
俺の自宅だ。
そして.....マンションに入ってからエレベーターに乗って。
ドアが開いてから帰宅しようとした。
だがそんな俺の家の目の前に.....栗毛色の髪の毛の美少女が立って居る。
目を丸くする。
何だあの少女は.....。
思いながら居るとこちらに気が付いた様にハッとした。
眉毛も栗毛色。
そして茶色の目をしたかなりの目が大きい美少女だ。
制服、セーラー服で俺に近付いて来る。
俺に柔和に接して.....え?
コイツ.....何処かで見た事がある様な。
「久しぶりだね。はーくん」
「.....!?.....お前.....。.....栗谷か?」
「うん。久しぶり。栗谷御幸(くりたにみゆき)だよ」
「.....久々だな。小学校以来か」
栗谷御幸。
俺の.....小学校の時に虐められていたのを助けてくれた女の子だ。
だけど引っ越して行ったのだ。
その為に.....所在不明だったのだが.....。
久々に見た。
しかしデカくなったな.....当たり前か。
あれから.....5年以上は経過しているからな。
それはそうだ。
「俺の家を.....覚えていたんだな」
「.....うん。忘れないよ?だって.....私が.....」
ボッと赤面する、栗谷。
俺は?を浮かべたが.....取り敢えずこんな場所で話すのもなんだ。
栗谷に向いてから家を指し示す。
家の中に入らないか、と、だ。
「.....え?良いの?」
「ああ。母さんも喜ぶぞ。俺もだけど」
「.....じゃあ.....お言葉に甘えて」
「おう」
栗谷には特別な存在だ。
俺にとって.....大切で有り姐御の様な存在だった。
何時も俺を助けてくれたから。
男だから.....助けてもらうなんて恥ずかしいけどな。
でも本当に嬉しかった。
「.....栗谷。転校先で上手くいっているか」
「うん。.....あ、それなんだけど.....」
「?」
「実はね、今度からこの近所の岩手高校に通うの。私」
玄関に案内しながら.....驚愕に目が丸くなる。
え?と思った。
それって俺の通っている学校じゃ無いか。
思いながら.....栗谷を見る。
「俺の通っている学校だぞ。引っ越して来たのか?」
「え?え!!!!!そうなの!?」
やけにハイテンションになる、栗谷。
俺は首を傾げながらも、ああ、と答えた。
栗谷は.....少し赤面しながら、やった、と呟く。
ガッツポーズをした。
「.....どういう事だ?」
「え?あ、何でも無いよ!コッチの事!あはは」
「.....???」
そして、お邪魔します、と栗谷は入った。
俺は後を追う様に入る。
因みに母さんは仕事だから居ない。
俺と栗谷だけだ。
そう考えていると栗谷が廊下で立ち止まった。
そして複雑な顔で俺を見てくる。
「.....今でも.....その.....お父さんから虐められているの?大丈夫?」
「まあ離婚したから問題は無いよ。栗谷」
「.....でもお父さんは住所は知っているんだよね?本当に.....大丈夫?」
「.....」
俺を見ながら.....不安そうな顔をする栗谷。
昔から.....本当に優しいよな。
思いながら.....見つめる。
話題を変えようと柔和な顔をする。
「栗谷。学校楽しいぞ。俺の」
「.....そうなの?」
「ああ。俺は.....今、ボッチだけどな」
「.....そうなんだ。じゃあ私、精一杯するね」
何をするんだ?
考えながら見つめる。
すると栗谷はニコッとした。
そして俺に言葉を発する。
「貴方にお弁当を作ってあげる。一緒に食べよ」
「.....え?そこまでする必要無いぞ」
(私がしたいから.....)
「.....え?何か言ったか?」
声が小さい。
聞き取れなかったが.....栗谷は首を振った。
そしてニコニコする。
何でも無い、と言った。
俺は???を浮かべた次に、まあ良いか、と笑みを浮かべる。
「栗谷。何か飲むか」
「.....うん。じゃあお茶を下さい」
「.....ジュースじゃ無くて良いか」
「迷惑を掛けたく無いから」
その姿を見ながら.....俺は、ふと、後輩の七水の顔が浮かんだ。
アイツ.....大丈夫だろうか。
と考えながら、だ。
そうしているとメッセージが来た。
「.....?」
(先輩。今日は家に来てくれて有難う御座いました。愛してます)
「ハァ.....アイツめ」
「どうしたの?はーくん」
俺の顔を覗き込んでくる、栗谷。
その様子に、後輩の女の子からだ、と答えた。
すると.....パキッと何かの音.....が響き。
なんか寒気が。
俺は!?と浮かべる。
「.....はーくん。後輩の女の子って?」
「あ、ああ。.....ど、どうしたんだ」
「.....ふーん。彼女さん?」
「い、いや?彼女では無いんだが.....栗谷?」
いや、何だよこの寒気?
思いながら.....栗谷を見る。
栗谷は頬を膨らませた。
そして俺を見てくる。
「.....頑張らないと.....私.....」
「何を頑張るんだ?」
「.....秘密。.....はーくんはこれに踏み込んじゃダメ」
「.....え?.....え.....」
全然意味が分からないんだが。
目をパチクリして.....栗谷を見る。
栗谷はソファに座りながら.....頬を叩いていた。
何かを決心している。
「.....栗谷。どうしたんだ?」
「何でも無いよ。あはは」
炎が見えるんだが。
だけど結局、栗谷は何も教えてくれなかった。
で、せっかく来たからと勉強を教えてもらう事になり栗谷は勉強道具を開いた。
そして赤色の眼鏡を掛ける。
俺はその姿を見ながら相変わらずだな、と思った。
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