第14話 彼の持つ力 sideエリスシア
新一さんが【封印神】のスキルを使うと連鎖していくかのように力が増して行きあのゴーレムの成長速度を圧倒していく。先生曰く進化の成長と適応以外は耐久と敏捷に振ったとのことだがまるでそれらを寄せ付けないような動きである。もはや騎士ではなく魔王の方が戦い方として正しいのでは無いかと思うほどでもある。
「…アヤツ気付いておるな」
「何にですか?あのゴーレムに何か仕組みでも?」
私の眼はそんなに優れているわけじゃないからそこまでの事を捉え切れているわけでもないがそんなに大仕掛けなモノだとは思えない。ただし何故かもう数百年もありことは確かなはず。
「どちらかと言うとアレの製作者じゃな。いや製作チームと言った方が正しいのか?」
「でも此処って初代【大賢者】が色々な策を巡らすのに丁度良いからと作った研究所ですよね?」
「そうじゃ。そして【大賢者】用のジョブクリスタルがあるところでもある。まあ【先導者】たるお主には必要なかろう」
そんな重要な場所を何故初代【大賢者】は抑えたのでしょうか?そして誰がこんな空間に調整したのでしょうか?考える事が多くて悩みが尽きません。
「それらは今度アヤツと一緒に話すとして…」
「あれどう考えても超級職同士の戦闘ですよね」
敏捷性の高い【先導者】たる私でも本当に見えているのはギリギリ。それでも時折見えない動きがある。…私の場合は生まれながらの超級職ということもあって本来の職全てを埋めて育って切っているわけではないのであり得なくもないかもしれないけど…。
「【封印神】ってそんなに優れたものなんですか?」
如何考えても急に強くなりすぎだ。あの《第一封印昇華》は以上だと思う。それこそ伝説の彼方にある『無限職』についても何か知っている素振りを見せてましたし。
「いんやありゃあ確実に【救世主】も封じておるな。……というかそんな使い方があるんか。となると…真に怖いのはアヤツが全部の職を埋めた時か」
「何故ですか?」
「アヤツは側から見れば狂人じゃよ。まあそれが出来ると分かってやっている可能性もあるんじゃが…。いやそれも含めてか?」
先生の独り言が増幅していき思考に囚われていく。
こうなった以上はしばらくは私の質問に答えてくれないだろう。
「まず先生の目的は…確か………だからそれに必要なのは無数の兵士と神大なる力。そして主に必要になるのは【天職】持ちに超級職そして特殊超級職に出来れば無限職」
これはの共通点は間違いなく制限なくレベルが無数に上がること。つまり鍛え続ければ比類なき力が生まれるしその副次効果として寿命が伸びてその子孫に宿る力が大きくなる。…そんな時間も無いと思うのだけど…それに私にはそんな相手は居ないし…。どうしてか新一さんが頭に浮かんでくるけど…。
「…姉さま」
「あらミリア如何したの?」
いつの間にか私の妹であるミリアが側にいた。体があまり強くないからあまり出歩かないけど…なんで此処に?
「なんか懐かしい気配と硬く強い気配が合い見えて懐かしい気配が優ってそれを追って」
そう言って人差し指で新一さんを指す。
「あの人…何処かで…」
えっ…。なんで彼に懐かしい?彼は昨日、召喚されたばかりのはず。…いや待って。
「ミリアは《武魔鋼将》を察知してたの?」
「うん。【天騎士】【聖女】に知らせようかと思ったけど…彼なら勝つと思ったから」
私ですら新一さんに守られて漸く気付いたくらいで…誰も出て来なかったのに…。それに関してはいつの間にか新一さんが展開していた結界のおかげらしかったけど。
「それを何故…」
「狙いは姉さまと【勇者】だけだった」
「えっ…。なんで?」
「分からないけど…アレの適性があるから」
アレ…。つい最近発掘【鍛治師】が製作されたと思われる水晶の剣である。とんでも無い能力を秘めているが故にその剣を抜くことすらに資格を有する剣。第一段階の能力は聖剣。魔を滅する力を有しているのが現状判明している。
そしてその先は判明していない。
「多分だけど…あの剣は所有者にすら牙を剥くが故に強いと思う」
「銘すら読めてないのに」
「私には剣と師の願いが伝わってくる」
そう言えば確かにあの剣にはかなり強力な願いが秘められている。
使い方を剣の方から示してくれたとは言えども何故か第二段階は教えてもらえない。ただ…。
(あの筆記法…新一さんのモノと似ているような…)
直後、大きな音が響き結界が開かれた。
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