第22話幸せな日々

「それじゃ、最初に茜あねえちゃんとあったのは、ラミアお姉ちゃんだったんだ」


「そうだよ・・・。」


「ねえ ねえ、茜お姉ちゃんって、どんな人だったの?きれいだった?」


「そうねえ・・。綺麗っていうより可愛いって感じだったかなあ。でも、やることは、女らしさの欠片もなかったよ・・・。朝なんか、ぜっぜん起きないし、家の中を裸で、平気で彷徨くしね。だけど、いっしょに居て、本当に楽しかった・・・。」


そういうと、次の瞬間、悲しそうな顔になって、一言・・・。


「幸せな時間は、すぐに、お わったのよ・・・・。」






クリスとラミアに助けてもらってから、一ヶ月がたち、だんだんと状況が解ってきた。


まず、ここがシーホン皇国領の<辺境の地>と呼ばれる所であり、狂暴な魔物が多く徘徊する島であるって事。(なんとなく、たくさんの魔物と戦った気がしていたけど、体じゅう傷だらけだったのと、LVが500から700に上がっていたことから間違いなかったのよね。)


そして、クリスとラミアはエルフの姉妹であり、クリスに至っては<大賢者>のスキルを持った魔法師だったのである。


私は、クリスに全てを話した。帝国の召喚の儀式によって、この世界に来たこと、帝国によって転生者たちが洗脳され、戦いに参加させられていること等を話、クリスからは、この戦争が帝国の侵攻が原因であり、エルフ側も領土拡大を画策して、戦いを受けてしまった事。そして、それを止める事ができなく、病で、この世を去った前王と、クリスとラミアの命と引き換えに、自害した前后の話を聞いたのである。


なんと、クリスとラミアは王族で(王位継承者第1位と第2位)だったのである。


「まあ、今は二人して島流し状態なんだけどね。魔法も使えるから不自由はないわ・・・。魔物なんて燃やせばいいだけだしね・・・。うふふっ」


って、クリスは簡単にいうけど、LV700の勇者が傷だらけになる魔物相手に笑って燃やせるクリスってどうなのよ・・・。絶対に逆らったらダメな気がするよね・・・・。


だけど、そんな3人の暮らしが私には心地よく、幸せな時間であった・・・・。そう、あの人たちが来るまでは・・・・。






その日、島の私たちが住む家に、数名のエルフの兵士たちが訪れたのであった。


「ここに、帝国の転生者が隠れているのだろう、速やかに引き渡すように。」


怒鳴り声のような声が島に響いた。


その声に、クリスが反応しドアを開ける。


「何事ですか!まがりながらも、王族に対するものではありませんよ。」


そう言って、外の兵士たちを睨み着けていると、兵士達の後ろから一人の男性が現れた。


「良い。余が許す。中の転生者を引きずりだせ。」


その声の主は、紛れもない現王で、クリスとラミアの、ある意味、仇である、シーホン皇国<エルドア王>であった。

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