第12話未来にむかって
ーケルペロスアジトー
アーレスの町の貴族街の中ほどにある、一軒の屋敷には、ギルド・ケルペロスのメンバーが集まっていた。だが、その姿は、明らかに人ではなく、異形な姿である。
「この町のギルドっていっても、たいした物じゃねえよなあ。予め、人間にギルドの登録をさせて、そのあと、乗っ取りゃ簡単に俺らの拠点のできあがりだぜ。はははは・・・。」
「そういうなよ、すべては、姉さんと、あのスケベ親父の冒険者のおかげなんだぜ。もっとも、スケベ親父の方は、姉さんにすべてを吸いとられて、あの世行きだけどなあ。ねえ、姉さん・・・ひひひっ。」
「バカを言うんじゃないよ。ちゃんと楽しませてやったんだから、満足していったんだ、文句はないさ。」
「サキュバスの姉さんに3日も抱かれたんだ俺たちでも持たねえよなあ。ははは・・。」
「ところで、アイツはまだ戻ってねえのか?たかが、村一つ潰すのに時間かかってねえか?」
「へっ、アイツのことだ、村の女どもを抱きまくってるんじゃねえのか。」っと、そんな話をしている時、Dooonと言う音と同時に入り口のドアが斜めに切り落とされドアの上部が室内へと倒れていった。
「こんにちは~ケルペロスの皆さん。そ・し・て、さようなら・・・。」
そういうと、次の瞬間には、回りのテーブルや家具もろとも、その場にいた数名の魔族の首や胴が切り捨てられた。それを見た<姉さん>と呼ばれていた女が叫ぶ。
「誰だい・・・あんた・・・。こんなことして、ギルドが黙ってやしないよ・・・。」
「あたしは、ラミア御劔・・・。あたしの妹と、村にしでかした事への落とし前をつけにきたんだよ。それに、ギルドってのは、魔族は対象外なんだっていってたよ・・・。えへっ。」そういうと、姉さんに向けて剣先をつき出す。
「・・・みつるぎだって・・・。まって・・、待って頂戴、知らなかったんだよ、あんたの村だったなんて・・・。謝るからさ~、見逃しておくれよ~。」そういって、にやにやと笑いかけてきた。
「い・や・よ・・・。」
そして、その女の首が床に転がったのである。
ここに、一つのクランが消滅した。時間にして、5分もかかってなかったであろう。
「さあ、アティ。かわいい服を買いにいこうか・・・うふふっ。」
「ラミアお姉ちゃんみたいのがいいなあ・・。かっこいいし・・・。」
「そう?、ここにあるかなあ・・探してみようね。」
そういって、手を繋いで商店街の方に歩いていった。
そして、3日後、数台の馬車に村人と家財一式を積んで、アーレスの町を出発したのであった。
因みに、ケルペロスの残党の魔族は、ドリトルとミリアさん達が倒したそうだ。アティは、お風呂に入ると、やっぱり思った通りに天使のように可愛かった。服はというと、本人の希望で、私と同じ振袖に袴の代わりにフリルの付いたミニスカート。そして、これまた同じように、長い髪の先をリボンで束ねた姿で腰に木刀を着けている。私の子供時代を思い出すよ・・・。
「さあ、辺境の地に向かってしゅっぱ~~~つ。」
どこまでも青い空に、頬を撫でる風が心地いい、春の日だった。
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