第17話 振り返り

 蠍座との戦いから2日が経過した。優仁は改めて星霊戦争について考えた。


 事の発端はパンドラの箱の管理者であるハートの女王がパンドラの箱を盗み出し、人間界に逃亡したことだ。


 星霊王はハートの女王を捕まえるため、星霊たちを人間界に送り込んだ。星霊たちを人間界に召喚するために、スマートフォンアプリ「星に願いを」を媒介にして、人間を契約者にすることで、本来の力を発揮できるような仕組みを作り出した。 


 ただし、すべてのアプリユーザーが契約者になれるわけではない。星霊との相性、願いの強さに合わせて契約者になることができる。


 星霊同士は手を組むことができる。その制度がフレンド申請だ。フレンド申請をした同士は本来ならば半径2メートル以内でないと察知できない星霊の位置を常に把握することができる。加えて、仲間内の攻撃を禁止する。すべての星霊が星霊王になりたいわけではなく、ある星霊を星霊王にするために手を組むこともある。また、契約者側も同じ願い同士なら手を組んだほうが有利なこともあるのだ。

 

 ハートの女王以外に厄介な敵がテネブラエという人の恨み、憎しみなどの負の願いが具現化した悪霊だ。通常の人間にテネブラエを見ることはできない。しかし、夢の中や負の感情に囚われているとき、テネブラエに襲われるという。そして、テネブラエは契約者と星霊を察知し、攻撃をしてくることもある。


 戦いはステラフィールドという結界内で行われる。星霊はステラフィールド内でないと姿を現すことも、戦うこともできない。ステラフィールドには2つの種類がある。それがバトルモードとプライベートモードだ。バトルモードは戦い用の結界でプライベートモードは他の星霊やテネブラエにも察知させない守りの結界だ。


 不思議な戦いに何故自分は巻き込まれたのか。いや、叶えたい願いならある。だから僕は契約者になったんだ。では何故星霊は姿を現さない。

 

 不思議に思うことは他にもある。蓮の行動だ。何故、蓮は自分を守ってくれる?助けてくれる?友だちだから?それに蓮は何かを隠している。


「わからないよ、ねえ答えてよレオ」


 優仁はベッドに倒れ込んだ。

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