第14話 蠍座の女③
砂羽美姫には幼い頃からの夢があった。それは女優になることだった。演劇を学ぶため、高校卒業後、上京した。都会にある専門学校に入学し、学業とアルバイトとの日々を過ごした。その間、小さな劇団に入団し、演劇の活動もしていた。
彼女は小さな田舎町に生まれた。演劇を学ぶため上京することを両親に反対され、半ば家出状態で上京した。学費も生活費もすべて自分で支払わなければいけなかった。加えて、劇団の活動にもお金がかかり、生活は厳しかった。
それでも、女優になるためなら頑張れた。幾つものオーディションにも申し込んだ。しかし、女優になる道は非常に険しかった。
専門学校を卒業してからも、彼女は劇団の活動やオーディションの参加、アルバイトに取り組んだ。そのような生活の中で金銭面で余裕がなくなってきた。
そんなとき、同じ劇団の仲間から夜の街で働かないかと誘われた。高級な店でお酒を注ぎながらお客と会話するだけだから、決して体を売るような店ではないから安心してほしいと。
彼女は迷った。しかし、お金がなければ何もできない。そして、働くことに決めた。
働いてみると、たしかにそこは高級クラブと言われるような場所で、想像以上にしっかりした店だった。
高級クラブとあり、来るお客の中には経済界の大物や芸能関係の人もいた。そのようなお客と会話をするため、彼女は経済学をはじめ様々な勉強をした。勉強になることもたくさんあった。
彼女はとあるオーディションの最終選考に残っていた。合格をすれば、映画の主演を獲得できる。チャンスだった。彼女はすでに28歳になっており、年齢的に厳しいものがあった。
そして、合格をした。
「ようやくだよ...」
しかし、悪夢が待っていた。ある日、電話で合格を取り消すという連絡が入った。彼女は頭が真っ白になった。
「...。どうしてですか?」
担当者は最初、会社の都合と言って、理由を教えてくれなかった。彼女は何度も電話をし、ようやく真実を教えてくれた。
「だって、君、水商売してるだろう?アルバイトとはいえ、イメージ悪いよ?特にこのキャラクターは清純派だからね」
空いた口が塞がらなかった。
それから、彼女はアルバイトをすべて辞めて、部屋に引き籠った。何故?その言葉だけが永遠と頭の中をループした。
「アイドルってだけで、演技も下手なのに、主演になれて...」
悔しかった。悔しくて悔しくて毎日泣いた。何がいけなかったのか。どこで間違えたのか。
そんなとき、彼女は出会った。星に願いをのアプリに。
「私は大女優になりたい」
そして、過去を取り消し、若い頃からやり直したい。彼女は星に願った。
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