第8話 双子座の少年②
蓮と優仁と周囲を囲むように水の壁が現れた。クリスティーヌが二人の前に立つ。
「
クリスティーヌは笑った。双子は手に持ったナイフを投げた。しかし、クリスティーヌの水によって弾かれる。
「星霊同士が戦うとき、契約者はどうするの?」
「ただ見てるだけだ。だが、星霊本来の力に加えて契約者の願いの強さや精神力が星霊の力となる。だから、気持ちで俺たちは負けてはいけないんだ」
そういえば蓮の願いって何なんだろう。叶えたい願いがあるなら、自分は邪魔でしかないのではないだろうか。
優仁が考え込んでいるうちに戦いは終盤を迎えていた。力の差は歴然だった。クリスティーヌが双子の星霊に水でできた剣を突き刺そうとしていた。
「やめろ、クリスティーヌ。とどめはいらない」
「おまえはまた甘いことを。まあ、いい。私も弱い者いじめはしたくないからな」
クリスティーヌの手からは剣が消えていた。翔は双子の星霊に駆け寄った。
「ミク!ルカ!」
すると双子の星霊は翔を守るように立ち上がった。体はボロボロで、立っているのもやっとの状態だった。
「俺たちの負けだ。なのに、何でとどめをささなかった!星霊を倒したところで死ぬわけじゃない。星霊界に還るだけだ。それとも、俺に対しての情けか?」
「この戦いの目的はハートの女王を捕まえることで、星霊同士が戦うことじゃない。無駄な血は流したくないんだ」
「...。結局、おまえは俺を倒したら後味が悪いんだろう?誰かの願いを踏み台にして勝ち抜いていくことが。だが、結局願いを叶えることができるのは一人だけだ。血を流さずに目的を果たしたところで多くの人々の願いを踏み潰すことに変わりはない!」
蓮は何も言わず、優仁とともにその場を立ち去った。
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