ツリーハウスへようこそ
よっち
第1話 はじめてのシェアハウス!
「んー、どげんしようかなー?」
あたしはネットを検索しながら悩んでいた。
短大を出た後地元で就職しようと福岡に戻って来て無事に事務職に滑り込んだはいいけど入れた先は福岡市内じゃなく糸島市。
しかも駅から若干遠いので福岡市内の実家から車で通っていたのだが毎日の通勤で帰ってきたらヘトヘト。
新卒でボーナスはまだ出ないが金一封10万円と特別給付金合わせて20万円の収入があったので家を出て職場の近くに住もうと悩んでいたのだった。
とはいえ資金に余裕は無く、かと言って安い部屋は設備が良くなかったりセキュリティに不安があったりする。
「なんかよかとこないとー?」
あたしは適当にマウスをカチカチする。
『糸島半島の海を見ながら仲間たちと過ごす生活、ツリーハウスは貴方のご参加お待ちしています!』
え?なにこれ?シェアハウス?
ツリーハウスってアレよね?欧米とかで木の上に作った家というか部屋というか。
「なんこれオシャレっぽーい!間取りは...」
開いたページには大きな共用スペースと6畳の個人スペースにトイレ付き!
お風呂はオーシャンビューの大浴場!(男女別)
「テラスハウスなん?テラスハウスなん?」
あたしはワクワクが止まらない。
家賃は...2万円に共益費五千円!?しかも駐車場無料で完備!?
場所は?会社から車で20分!あたしのためにあるような部屋だ!
運命を感じたあたしは即内見を申し込んだ。
...
「こんにちわ、不動産の夢舞台、担当の田中です」
不動産の会社まで夢舞台なんて名前ってきっとあたしの未来は夢のようなんだわ!
アホなこと考えずに挨拶挨拶。
「こんにちわ、内見を申し込んだ
次の日曜、あたしは現地に内見に来ていた、あー、実物はどんななんだろう!
「うっわ敷地ひっろ!」
あたしは思わず叫んだ。
糸島の海側といえば福岡市のベッドタウンの前原と違い漁港やサンセットビーチで有名なぶん結構な田舎なのだ、それにしても広い。
まず駐車場が30台分はある、部屋数は15だったから一人2台置ける計算だ。
そこから建物までは芝生張の庭、ここでキャンプやバーベキューが出来そうなくらい広い。
「住民の方はここでよくバーベキューをされてますね」
ほら!ドラマみたいでオシャレ!
「皆さん仲良しなんですか?」
ワクワクしながら聞くと。
「ええ、一緒に住んでるのでちょっとしたトラブルがあったりはしても何日も引きずるような人は一人もいませんね」
何この神環境!部屋見る前から好感度爆上がりなんですけど!?
あたしは違和感を覚えて聞く。
「そんなに仲がいいのに駐車場に車一台もありませんね?」
あたしの問いに田中さんは。
「仲がいいから、ですよ。
皆さん出かけていますし一緒の車で出かけている方もいるんじゃ無いでしょうか」
『芽衣、一緒にマークイズまで映画観にいかん?』
あたしは思わずワイルドイケメンの住人さんからデートに誘われる妄想をする。
「潮田さーん?中見ますよー?」
おっといけない置いてかれるとこだった。
そういえばイケメンといえば田中さんもなかなかにイケメンだ、まぁあたしの好みはもうちょっとワイルドな感じがいいんだけど、彼は爽やかイケメンだ。
そんな事を考えながらあたしは田中さんの後を追って玄関をくぐった。
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