哲学が必要なクマ
ペンギン
第1話 哲学誕生
雨が降ってる。ここはどこだろう……
僕は一体、何者だ……
うわー眩しい!光の中に誰かいる。
「君は誰?」
「私はクピー」
「ここはどこ?」
「ここは、ギリシャよ。世界は全て神々によって創られたと信じられていた時代」
「ギリシャ……今から2600年もの前にタイムスリップしたってことかな?」
断片的に記憶はあるみたいだ。
でも……
「僕は自分のことがわからないんだ。名前さえもわからない。でも、どこかに帰らないといけない。よくわからないけど、あせってるんだ」
「あせってもわからないものはしょうが無いわ。ねぇあっちの方でなにか揉め事が起こっているみたいよ!」
確かに人の声が聞こえる。
「バカバカバカバカバカ」
なんだか村人達が揉めてる。
「雨がどうして降っているのかについて揉めているみたいね」
「止めないと!」
集まっている人達が雨について話ししているみたいだ。
「雨は神様のお恵みだよ!みんなそう言ってる」
「えっなにいってんの?バカなの?神様が泣いているんだよ。村の伝承として伝わっている」
「えっなにいってんの?バカなの?」
争いを止めなくちゃ。僕はクールな顔で村人達に説明する。
「ちがうよ!空気中の小さな水が集まって、雲になって、もっと集まったら雨になるんだよ!」
決まったぜ。
「えっなにいってんの?バカなの?」
イラっこいつら腹立つわ。
ピカっ わっ雷が落ちた!また、村人達は村に伝わる伝承を展開する。
「神様がハンマーを振っているな~」
「えっなにいってんの?バカなの?神様が怒っているんだよ。みんなそう思うよな!」
「えっなにいってんの?バカなの?」
争いを止めるんだ!僕はクールな顔で村人達に説明する。
「雷が起こるのは、雲の中の水が冷やされて氷になって、その氷が擦れて雷になるんだよ!」
決まったぜ。
「えっなにいってんの?バカなの?」
イラっこいつら腹立つわ。
バカっていうやつがバカだ!
「バカバカバカバカバカ」
ついカッとなっていってしまった。
クピーが僕に向かって話す。
「バカばっかりで収拾がつかないわね。いろんな民族が違う神話を信じていたから、考えの違いでいざこざが起こったのね。あっ最初の哲学者と言われているタレスがきたわ」
タレスが村人達に向かってドヤ顔で話をする。
「他人に忠告するのは簡単だ。バカバカいってないで、みんなちゃんと自分で考えようぜ」
「最初の哲学者……みんなでちゃんと考えようぜってまともなこと言っている。これで争いが収まったらいいけど……」
「俺は全ては水から生まれたと思う。俺の体も水で出来ている」
ずっとタレスはドヤ顔。でも、俺の体も水で出来ているって、聞いてて恥ずかしー謎理論だわ。
村人達も文句がありそうで、タレスに反論する。
「えっ。水でできているってなにいってんの?バカなの?神様が作ったんだよ」
「バカじゃないわ!」
「バカバカバカバカバカ」
タレスも結局、バカの応酬に巻き込まれてる。
「結局、バトってるね」
「でも、このちゃんと考えるということは、この後、ものすごく流行ったのよ」
「確かに、みんなバカって言われてくないもん」
「そうね。バカと言われたくない哲学者は、タレスのみんなが言ってるからではなく、ちゃんと自分で合理的に考えようぜということを真剣に考え始めた。それが哲学の始まり」
「みんなが言ってるからじゃなくて、ちゃんと自分で合理的に考える……すごく難しいことだね」
そう考えていると、なんか次々とムキムキで偉そうな人々が集まってきた。
なんなんだこいつらは……
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