第14話 最初に歌う人
「ねえ。いつも、こうなの?」
「なにがだ」
「こうやって、さわると、他の人のことが、わかるの?」
「そりゃあ、そういう仕組みだからな」
「いつもなの?」
「触れば全てこうなる」
彼女。泣き始める。
「おっと、すまん」
手を離そうとした。握り返されて、離せない。
「ちがうの。これは」
彼女の手から、伝わってくる。かわいそう。
「あなたが、かわいそうで。こんなに、こんなにいろいろ流れ込んでくるのね。それなのに、あなたは、叫ぶだけで、なんとか、してる」
「まあ、叫べばだいたいのことはなんとかなる」
彼女。少し笑った。
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