激烈!担々麺マン!!

@dekai3

第1話 夜のコンビニ

 夜。それも繁華街の深夜のコンビニともなれば酔っ払いの客が訪れる物であり、酔っ払いと来ればだいたいが店員にウザ絡みする物である。

 中には店員に注意されたら素直に帰って行く者も居るが、中には店員に注意されると逆ギレをして大声で叫び出す困った者も存在する。

 ほら、今夜もここに、迷惑な人が居る。


「だ~か~ら~! ガンダム売ってくれって言ってんだろガンダム!! コンビニならなんでも置いてあるのが常識だろうがぁ~!!」

「で、ですから当店はプラモデルの取り扱いは無くて…」

「プラモデルじゃねえ!! ガンダムだって言ってるだろうがぁ!!!」


 明らかに言葉と常識が通じていない40代程の男性。

 摂取したアルコールの量はかなり多いようで、顔が真っ赤なだけでは無くて股間がズブ濡れで自分が漏らしている事にも気付いていない。

 そんな泥酔状態の男性は何度も『ガンダムは売ってない』と答える店員に我慢が効かなくなっており、とうとうカウンターに詰め寄って店員に向けて手を伸ばしたその時!!


パリーン!!


「アイヤー! イーガーコーテルイーガーコテールシャンハイチュウゴクショウコウシュー!!!」


 ガラスを破って、担々麺マンが現れた!!


「なんだぁ、おめぇ?」


 突如現れた謎の中国語っぽい物を喋る担々麺マンに向けて、泥酔男性がメンチを切りながら何者だと声をかける。

 だが、彼は担々麺マン。そんな安っぽい脅しには屈しない熱い男だ!


「ソイハンマーボーイーアルカンフーチュンリーカワイーナルトーシップーデェーン!! ソイヤッ!!!」


ガポッ


「うあっちぃ!! 熱っ! 熱っ! なんだこれ熱っ!! いてぇ!!!」


 担々麺マンが自慢のクレーマー撃退汁無し担々麺を男性の頭からぶっかけたのだ。

 花山椒は元より、ラー油も自家製の物使っていて麺も手打ちだ。そぼろには沖縄のアヨーを使っている。


「ハァァァァァァァ!!! センゴヒャクエンニナリムァスッ!!!」


ビシィィィ!!!


 熱さだけでなく辛さを全身で味わった男性の額に向けて右手の人刺し指と中指で挟んだ領収書を突き付ける担々麺マン。その威力はヤシの実を割るとも言われていて、人間の頭蓋骨程度ならば簡単に割れるだろう。


「ぐはぁ……」


 担々麺マンの領収書拳を喰らい、額から血を流しつつ無意識に財布から千五百円を取り出してしまう男性。

 これが担々麺マンの力だ。


「マタオコシクダサイマセェ!!」


 それだけ言うと、担々麺マンはコンビニを後にして夜の街に消えていった。

 後に残されたのは担々麺が飛び散ったコンビニと、額から血を流した担々麺塗れの男性と、恐怖で震えているコンビニ店員だけ。


 また一つ、社会の闇を葬った担々麺マン。

 次は何処に現れるのか。もしかしたら、君の街に現れるかもしれない。


 担々麺マン。ああ、担々麺マン。花山椒の香りがしたら要注意だ!!!

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