第2話 も〜〜〜〜ダサいんだよ!ダサい!

「も〜〜〜〜ダサいんだよ」

「宏ヒロシ!お前さ〜どうしてあそこでバリア外すのさ!」

「獲物を探す敵ハイパワー城の格好の餌食となるだろうが〜」


 またやってる!

 黒板消しクリナー置きの机でオタク男子が白熱している。


「文子フミコ、文子!ほらまた始まった、朝からゲ〜ムの話」

「輝アキラ君達オタクグループって毎朝ゲームの話ばかりで

 嫌よね」

「だいたいさ、毎日戦争ゲーム話で盛り上がるなんてオタクで野蛮

 でヤバくな〜い」


 小百合サユリは毎朝男子たち、いえ、アキラ君達のゲ

 ームトークに聞き耳立てて女子トークする。

 ※小百合にとってもそれが朝の話題その1なんだけどね。

 ※オタク、オタクというけどね、イケメン揃いだから気になる小百合

  の気持ちはよ〜く分かる。


 けど、私はあまりアキラ君達の戦争ゲームに対して批判できない…。


 だって私もそのゲームの中で誰にも誰にも内緒で匿名で城主してる

 から。


 だからゲームトークの内容は具つぶさに目撃してる。


 昨夜もその通りでヒロシ君の城はハイパワー敵城から高速進軍攻撃を

 受けて盛大に城が燃やされていた。

 今回の世界大戦は接戦で勝ち負けポイントがほぼ同点で均衡だった。

 各城の城主プレーヤは敵も味方もバリアを張って敵城の気の緩みを監

 視し合う膠着状態で対戦終了残り時間10分切っていた。

 大戦終了の早朝の8時まであと僅か。 

 ※バリアの継続時間を計算間違いして対戦終了前に有効時間が切れる

  城を待っている。


 その均衡下でヒロシ君は欲をかいたのかバリアを張っていない敵城に

 偵察を出した。

 ※偵察は自分の城のバリアを解かないと出来ない。


 あわよくば、敵城を攻撃してポイント得てタイムアウトで逃げ切りを

 目論んだんだろうね。

 ヒロシ君の城レベルは30。

 30以上の城となると伝説級にカテゴリが変わり城ランクがジャンプ

 アップする。


 伝説級レベル1から育成出来る兵の能力は格段に向上しランク6となる。


 城レベル30では持てる兵ランクの最高クラスは4なのでどんなに足掻

 いても兵ランクの差は間に埋まらない1ランクの差がある。

 ※伝説級城の優位性。


 伝説級レベル1でもこれだけの戦力差となるので30レベルまでの城は

 ハイパワーの敵城が近くにいる場合は大人しくバリアを張って行き過ぎ

 るのを待つしかない。


 バリアで備蓄している資源と兵隊数を温存していた城。

 しかもレベル30の城なら尚更奪取できるポイントは破格。


 ヒロシ君の城は骨の髄まで燃やし尽くされ略奪蹂躙され破格のポイント

 を敵に進呈してしまった。


 均衡していた世界大戦のバトルバーは一挙に敵のポイントが増え敵国の

 色である赤で押し戻され味方の青色がどっと減った。

 そしてタイムアップで負けた。


 ギューンと減る青ポイント…。


 その瞬間、味方青色陣営は虚脱感に覆われた。


 ヒロシ君の軽率な行動が敗因だった。


 誰の原因でポイントが奪われたのかはその城の付近で目視していないと

 分からない。


 だから知っているのはそばに居た私とアキラ君の団員しかいない。


 他の領主から責任追及が起きるのを恐れてゲーム内ではこの件には触れ

 ずにサラリと負けちゃったね残念でした

 「お疲れ様でした〜」

 で終えている。


 日本人以外の領主でぶつぶつチャットで言ってる領主もちらほら居たけ

 どね。

 ※特に中国人はぶつぶつが激しかった。


 〜○〜

 追伸

 私だってアキラくんと話がしたいけど、リアルでは堅苦しい女子の位置づけと

 なっているので…。

 だからね、だからゲームの中で隣に居るの。

 別にストーカなんかじゃ無い。

 今の世での乙女心なんだから。

 頼むから誤解はしない様に!

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