異世界怪盗~異世界で、怪盗やってます。~

駒込ピペット

第1話 能力

この16年が、悔いのない人生だったと、果たして言えるのだろうか。

ー目を開いくとそこは、暗闇の中、人々の行列と、赤く光る抽選の機械のようなもの。私が見えたのは、それだけだった。

「後ろがつっかえています。はやく回してください。」

…。私はゆっくりとその機械を回す。

「それがあなたの『能力』です。それをもって、あそこのドアから、出て行ってください。」

私はカプセルのようなものを持ちながら、ポカンと突っ立っていると「こちらです。」と少々怒り気味のスタッフのような人が赤いドアを指さしながら、私の背中を強く押す。私は仕方なくドアを開けると、眩しい光が視界に映った。

ー「ひかり、あなたは誰かの光となるように、自分を犠牲にしてでも、人を助けるのよ。あなたは、私の『ひかり』だから。」

昔のことを、思い出してしまった。細めた目を開くと、そこにはアニメで見たような世界が広がっていた。

「ここって…。」

私はもしかして、異世界というところに来てしまったのではないか。

「あなた、もしかして新人?」

!?

「あ、あの…」

「あっ。ごめん。私はリサ。もうここに3年住んでいるの。分からないことがあったら何でも聞いて。」

その女の子は、見た目は私と同じくらいの年で、だいたい15~17くらい?目がくりっとしたかわいい子だった。

「それより、あなたの能力はなに?」

…。

「あの、1つ聞きたいんですけど、その『能力』って何ですか?」

「あっ。そっか。えーっと、そのカプセルに能力が書いてあって…ほら、その紙を開けば…」

「あっ。本当だ。私の能力は…!?」

これが、私の「能力」!?


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