直接世界・想像力・可謬性

第1話

僕たちが経験することは、自分の身の周りでおこっていることだけさ。直接世界しか経験できない。じゃあ、離れたところでおこっていることは無視しといたらいい？僕らは想像力で、広い世界を考えることもできる。

「ちょっと待って！想像力は、世界の実像をとらえられるかしら？」

僕らは想像力を広げながら、同時に想像したことの可謬性も意識しておくことが必要だ。

「たとえばどういうこと？」

AIの開発が進んで、人間を凌駕してしまうかもしれない。自律したAIとの戦争が起こるかもしれない。ここまでは、想像力の世界だ。しかし、その想像力は「間違っている」かもしれない。これが、可謬性ということだ。人間は、学問はもとより、無謬性ばかり希求してきた。しかし、いま人間に希望を与えるのは、「僕らの想像力は間違っているかもしれない」ということではないか。可謬性にはたくさんの可能性が眠っている。