クローバー
貴方のために白詰草を敷き詰めました。ほら、貴方は白詰草の、特別な一葉を欲しがったじゃありませんか。ここから見渡す限り、全て貴方のための白詰草畑です。
こんなにどうやって敷き詰めたのかって、そりゃあ作ったのに決まっているじゃありませんか。貴方と私のために、この一面の白詰草全てを。試験管の中で調整するのも大変でした。
ええ、どうぞ探してみてご覧なさい。確か四つ葉も沢山紛れていたはずです。さあさあ、その中に分け入って、子どものように。採れた葉はこの籠に入れて、持ってお帰りなさい。
ああ、そうそう。五つ葉は四つ葉よりも希少で、更に幸運を運んでくれますよ。そして、もし見つけても、誰にも言わず、こっそり隠しておくのです。良いですか、誰にも言わず隠しておくのですよ。
ふふ、嬉しそうだこと。……この畑には見つけやすい場所に五つ葉を配していることに、いつお気づきになるでしょうね。いいえ、きっと貴方は最後まで気付きもしないでしょう。私が貴方の不義を知っていることも、五つ葉の逸話も、どうせ知らない貴方なのだから。
見つけた五つ葉を隠し持つと、不幸になるのですよ。
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