コスモス

 宇宙賢人会議は、星暦×××××××年に開催された。全宇宙について把握している数少ない賢人たちが定期的に行う、宇宙の調和を守るための話し合いは、牛頭の賢人の重々しい言葉から始まった。

「現在、宇宙はごく一部を除いて、非常に調和の取れた素晴らしい状態だと言える。そこで、今回はそのごく一部について話し合いたい」

 それを受けて、小鳥の姿をした賢人がさえずった。

「あの星の近辺は、傍若無人で無知な連中によってかき回され、途轍もなくくだらない研究の対象とされて辱められている。あの星にのさばる低レベルな生命体を一掃せねばならん」

 小鳥に合わせ、猛禽類の姿をした賢人もばさばさと羽を動かし、同意を示した。

「然り。あ奴らは星に意志があることすら知らない。この開かれた宇宙の中で、未だあそこまで進化出来ずにのさばるのも珍しいほどだ」

 まったくだ、と、残りの賢人たちもしきりに同意した。牛頭の賢人が重々しく頷いた。

「満場一致だ。それでは早急に、然るべき処置を施そう」

 そうして、地球人類は全滅した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る