こんにちは。
彼女のように苛烈な虐待を受けている特殊なケースに限らず、この年代は日々、世界と衝突して、折り合いをつけたり、どうしても折り合えない自分を自覚したり、乗り越えようとして挫折したり、と揺れますよね。
そんな普遍性をもった、心の揺らぎを捉えた物語として読ませていただきました。
作者からの返信
久里さん
こちらまでお読み下さり、ありがとうございました。
実は重いカミングアウトですが、作中で主人公が受けている虐待は、私のほぼ実体験です。
少し前までは、自分の被虐待経験の克服には、「君は何も悪くない、僕が守ってあげる」と寄り添ってくれる白馬の王子様が必要だと思っていました。
しかし、歳を取るにつれて、あの時の自分に本当に必要だったのは、「自分の人生は自分の手で取り返せ、どんな地獄だろうと這い上がり生き残れ」と教えてくれる同じ立場のサバイバーだったのかもしれないと思い、この小説を書きました。
後者のメッセージには、前者よりも普遍性が、そして力があると信じています。
まさしく現ドラに相応しい、生々しい話と人物が目を引く話でした。
なにより、「実際にこういう人って、どこかで見た気がする」と、読む人に錯覚させるような、妙に現実味のある台詞が印象的でした。
それと個人的な感じ方かもしれませんが、《氷上のシヴァ》方とは少し違って、こちらの方では情景描写が多く見られて、独特の雰囲気を味わえた気がします。
(《氷上のシヴァ》は、どちらかというと、心の情景の描写に焦点を合わせているとの印象でした。)
作者からの返信
冬野さん
こちらまでお読みいただき、ありがとうございました。
人や台詞に現実味があるとのお言葉、大変嬉しいです。
本作はどちらかというと純文学のカテゴリーなので、エンタメの「氷上のシヴァ」とは異なった、なるべくリアルな言葉を意識しました。
情景描写にも力を注ぎ、何度も書き直した箇所も多いので、目に留めていただけて良かったです。
そうですね、シヴァは圧倒的に心情描写に重点を置いています。
作品ごとに、焦点を当てる適切な場所を見極める努力を、これからも継続していけたらと思います。