第4話



 ウーン

 

 サイレンの音がして

 

「そこのバイク止まりなさい」


 その声に宝塚はうんざりした気分になったが

 

 仕方がないのでスピードを緩めようした時、思いがよぎってしまう

 

 どうして俺なんだ? 

 

 あいつ等じゃなくて、俺が?

 

 いつも碌に取り締まらないくせに、こういう時だけ

 

 どこに隠れていた?

 

 ザラザラしていたモノがトゲトゲしくなっていく。

 

 お前らの点数稼ぎに使われるなんてのは御免だ。

 

 宝塚はスピードを上げた。

 

 夜の街を走り抜けて行く、この疾走感。

 

 いらないものを置き去りにして、

 

 全てがもう、どうでもよくなってしまった。

 

 そんな彼の運転は冴えわたり、

 

 滑るようにすり抜けて行く。

 

 しかし、そんな時間はすぐに終わりを告げ

 

 バランスが少し乱れただけで、全てが崩れていき

 

 終焉を迎えた。

 

 

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