漂流トラベラーズ

氷川奨悟

第1話 プロローグ

まずは、我々のここまでの旅の経緯について説明しようと思う。


15世紀末、まだライト兄弟が飛行機を発明するずっと昔、我々5人は、命がけで、ある島に辿り着いた。


もっとも、それは当初の予定を変更せざるを得なかった上での選択だった。


我々が乗った船は、旅の道中、嵐に見舞われ大破したのである。


よって、当初の予定だったジパングへの進出を諦めざるを得なかった。


ヨハンが言った。


「船長、ここは得体の知れない島です。すぐに脱出を試みましょう」


すると、シグルドが


「いや、待て。船が大破した今、我々にできることはこの島の民に救いを求めることだ」


と言ったが、


それに対してケイネスは


「それは危険すぎる。言葉の通じない民に我々の事情が理解できるとは考えにくい。下手したら殺されるかもしれない」


と言った。


我々ができる言語といえば、イタリア語とスペイン語とラテン語くらいである。


確かに、ヨーロッパ圏以外の島の人々に正確に言葉が伝わるかは不安の極みであった。


それでも、ルアンは


「私たちがこの島を訪れたのには少なからず神のお導きに他ありません。きっと何か意味があるはずです」


と肯定的に捉えた。


私は、迷った挙句、一旦、この島を探索することに決めた。


我々が探索を始めると、葉っぱの首飾りに槍を持った焦げ茶色の民族が現れた。


彼らは衣類など身につけていなかったため、衣類を纏った我々を不審な集団だと判断したらしい。


それによって私は、ここが、地図にはない島、すなわち、新大陸であることを発見した。


私は、この島の人々を敬意を込めて「インディオ」と呼んだ。


すると、彼らは、一斉に槍を我々に向けて、威嚇し始めたのであった。

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漂流トラベラーズ 氷川奨悟 @Daichu06

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