第18話僕(私)の物語
僕(私)は正社員として昼間働いている。公務員ではないけれど残業はほとんどない。休みも週休二日ちゃんとある。祝日も休み。一日が二十四時間あって、睡眠時間は七時間、通勤時間も含めて仕事で十時間、残りの七時間のうち四時間は小説を書いている。四時間あれば原稿用紙十枚は書ける。乗ってくれば四時間で五十枚以上書ける時もある。ノルマに追われると質が落ちるので最低この枚数は書くとは決めていないけれどひと月に原稿用紙三百枚は書いている。昔はこの枚数を書くのに一年以上かかっていたけれど不思議なもので書くことの筋力は確実にあると今は感じている。また、昔は十枚書いたらそこから余計なものを落としていき三分の一ぐらいに短くするの繰り返しで書いていたけれど今はそれをしなくなった。一気に書く。書き終わったら一通り読んでみて誤字脱字があれば直す。書くことは誰でも出来ることだと思う。人は想像以上に文字を書いている。ツイッターを見れば呟きが十万を超えている人も普通にいる。原稿用紙三百枚で文字数は大体十万前後になる。そう考えれば書くことは誰でも出来る。音声入力でツイッターをしているわけでもないし。日々やり取りで使っているメールやラインはもっと長文になるだろうし、ラインのやり取りだけで一つの物語になる。ただ、それが面白いかそうじゃないか。ブログが書籍になりましたレベルでは面白いとは言われない。ツイッターで初めて黒塗りの高級車に追突してしまうbotを見た時は衝撃を受けた。ああいうのは発想力がずば抜けていないと中の人はやれない。たまに実は中の人は数人いてネタを出し合っているのではないかと考えることもあるけれど、言葉の癖を見る限り一人の一般人の方がやっていると思う。僕(私)も書く時間以外に物語のアイデアを考えることは多い。仕事中や移動中に閃いたことは必ずスマホのメモ帳に自分が分かるように書き込む。そしてそれを時間がある時にツイッターで検索にかけてみる。表現として、発想として、その閃いた考えを誰も呟いてなければそれは斬新な閃きと判断していいと思っている。逆にたくさんの人がそれを呟いていたらその発想は誰でも考えつくことだと思う。物語は人それぞれ作り方があると思う。映画スタンドバイミーで主人公が仲間内で面白い話を聞かせるシーンがあるがあんな感じが理想だと僕(私)は思っている。ラーメン屋さんがラーメンの物語を、タクシーの運転手がタクシー裏話を語ることは簡単だと思うし、ニートにだってニートにしか分からない物語がある。リアルにはリアルの面白さがあり、想像の作り話にもリアルでは出せない魅力がある。面白い小説とは時間を忘れて一気に読まされてしまうものだと思う。小説家や漫画家は上手に嘘をつくことだ、の言葉を見た時はまさにその通りだとも思った。読者は想像力を持っている。最初にガツンとリアルな嘘をかませば、あとは読者が勝手に想像してくれる。
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