第17話それでも書き続けるのだ
僕(私)は更新ボタンを押した。僕(私)の初めての日記が日記コーナーに表示された。真夜中だけど人はいる。僕(私)の五分前に書かれた日記が閲覧者30人を超えている。女性の日記だけど。しばらく更新ボタンを何度も押してみる。こんな時間でも日記を書く人は多く、十分ほどで僕(私)の日記は一ページ目から消えてしまった。未だ閲覧者数0人。心が折れそうになる。あ、いきなり閲覧者数が2人になる。足跡を見るとその二人はどちらも男性だった。それでも嬉しい。とても嬉しい。もちろんコメントもいいねも貰えなかったけれど。その後もこのサイトでずっと自分の日記を何度も見直してみたけれど閲覧者数は増えなかった。僕(私)の出会い系サイトでの日記デビューは燦燦たるものだった。今日も仕事があるし、閲覧者ランキングで上位の人は一日に何度も日記を書いている。でもそれはやらない。僕(私)のルールとして日記は毎日書く、一日一回の渾身の日記を書く、アダルトな写真には頼らない。自分の作品も働きながら書いているし、毎日書くのも大変だと思う。ただ、男性でも閲覧者数が多い人もいるし、女性でも閲覧者数に差がある。誰もが最初はただの新人で、男性なら閲覧者数0人を経験していると思う。僕(私)はピンときた。日記の内容以前にタイトルが大事なのだ、と。タイトルをクリックさせてしまえば日記を最後まで読まなくても閲覧者数は増える。タイトルで釣ればいいのだ。日記は一日一回。明日のリベンジを誓って僕(私)は眠りにつく。パソコンの電源を切って布団に潜り込んで目を瞑ってもいろんなことを考えてしまう。閲覧者数が0人とか1人とか2人とか。そんな日記は溢れている。みんな今の僕(私)と同じような気持ちなのかなあ?タイトルで釣るにしてもどんなタイトルをつければいいんだろう?閲覧者数が0人だけどものすごく面白い日記もあるのかもしれない。今まで自分の作品を賞に応募してきたけれど下読みの人はちゃんと読んでくれているのだろうか?最初の一枚でシュレッダーに捨てられてるんじゃあ…。編集は見る目がないなあ。落選という現実を受け止めるたびにいつも同じことばかり考えていた。…デビューしたいなあ。人のせ。いにするのはいつものことだし、みんな同じようなことを考えていると思う。誰にも読まれずに埋もれていくことは悲しいけれどそれでも書き続けるのだ。
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