カエル様、左利きですか
築三十年以上の我が家のキッチンは対面ではない。五年ほど前にリホームを行った際にも配置が難しく位置はそのまま。流しに沿って出窓があるタイプ。
その出窓に、ここ数日雨蛙がへばりついているのが見える。
二階の小窓の外枠に暫く座っておられたカエル様が、降りてこられたのではないかと勝手に推測している。
カエル様の裏側を見ることは、今までなかったような。
観察していると存外に手足が長かった。
当初のカエル様は、リラックスモードのようで手足が緩んでいたと言ったらよいのか裏から拝見するに楽な姿勢だったような。
だけど、昨夜は小さくまるで折りたたんだような礼儀正しい姿勢。
なぜか。うん、多分寒かったから。
日中は、湿度が高く気温も三十度ほどあったのに。夜には秋の気配。
「カエル様。小さくおなりですが寒いのでは。もう土に入られた方が良いのではないですか」と、窓越しにおすすめしてみた。
「そりゃあ、まだ早いがな」背後から夫の声がした。
「まあ、確かにそうだけど」
その後カエル様は、どのように判断されたのかと気になっていたら。
今日もおられた。時々視界から消えるけど、多分その時もお近くにおられるような。
そして、気が付いた。
小さく礼儀正しい姿勢の時には、左手だけ指をお広げになりお体を窓に張り付けておられるのだと。
昨夜も同じだった。
そうか。
「カエル様、もしかして左利きですか。」
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