赤い靴

 休日の早朝に久しぶりに夫と少し遠出をした。

遠出といっても県北から県南のショッピングモールに行くだけなのだが。

高速道路のゲートを抜けた後に夫が声をあげた。

 「あっ、あれっ、あんなところに」

 「はぁ~、なに、どうしたん」

 「いや~、あんなところに~」と、驚いているにもかかわらず口調がゆっくりな夫に内心イラつきながらもお出かけの際には気分よくがモットーの私はゆっくりと息を吐き「何かあったの」と、冷静に問いかけた。

 「いや~さっきのところに、赤い靴が片方あったんだけど。女性用か子供用か、、、」

夫の言葉を理解した時には視界からとうに外れており目視できなかった。

「はぁ~」と、もう一度息を吐きペットボトルのお茶を口に含んだ。

 それにしても駐車場とかならまだ理解できるけどなぜなんだろうか。車のボンネットの上にでもつい置いてしまっていたのを落としたのか。

 いや、この辺りで考えられることはキツネかサルなどの悪さが一番濃厚だなと、探偵気分に浸ってみる。

 高速道路から眺める木々は夏の雄々しさはなく、確実に秋へと歩み寄っている感じがした。

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