スナイパー

 今朝、出かける夫を見送ったときのこと。

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「うん、じゃあ行ってきます」と、言い夫がドアを開けた瞬間に何かが入ってきた。

夫の頭上に大きな蜂がホバリング状態。

「ハチ!やば。ハチ!」と言い慌てて夫がドアを閉めかけると室内に入りかける蜂、慌ててドアを再度開け外に出ようとした夫につられて蜂が外に出た。その瞬間に慌てて室内に戻りドアを閉める。

夫婦して「ふう~」と安堵。

 夫は蜂に弱い体質的だ。以前に笹蜂なるものに刺されたときは気分が悪くなり病院で点滴を受けたことがある。

 私は下駄箱を開け蜂ジェットを探す。山間部にある我が家の下駄箱には他にムカデ用やカメ虫除けなどを常備している。

 特に蜂ジェットは強力でグリップを起こしてしっかりと握り10m先の標的を狙うこともできる代物だ。

 私は夫の前に立ちグリップを持つ手に力を込めてドアを少し開けた。

そして、その隙間から蜂ジェットの先端を出しそうっとドアを押し広げて周囲を確認しながら外に出る。その後ろを夫がついてくる。


 すでに蜂はどこかに飛んでいってしまいその姿は見当たらなかったのだが、スナイパー気分でわくわくした。

否、スナイパーではなく身辺警護側だったかも。

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