恋するということ

一葉

恋するということ

 恋するっていうのはすごい突然に起こるらしい。


 なんの伏線もなく、なんの予報もなく、何気ない日常の中に突然にあらわれる、それが恋するというものらしい。


 そんなことを言っている私なんだけど今、恋に落ちる瞬間を体験していた。


 その恋の始まりは、どこにでもありそうな色のない日常の中に突然に色があらわれたようで。


 廊下ですれ違ったときも、学校の図書室でふと見かけたときも。


 そのたびに私の心臓はドクンって跳ねる。ふと笑みが溢れてしまう。


「あっ、あの……!」


 勇気を出して、声をかけてみた。


 この気持ちに気付いてほしくなかった。気付いてしまったら学校なんて恥ずかしくて来れなくなりそうだから。


 でも。それでも、やっぱりあなたにだけは気付いてほしい。この、私があなたに恋する気持ちを気付いてほしい。


 だから。


 これは、決して若気の至りではない。恋に憧れてはいたんだけど、そういう軽い気持ちでそう思っているわけではないんだ。


 正真正銘の……恋心だから。


 決して私とあなたが結ばれる運命では無かったということがあったって、私が変えてみせる。


 私はこの恋を秘めておくだけじゃない。きちんと挑戦するんだ。恋するっていうことは、そういうことなんだ。

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恋するということ 一葉 @ichiyo1126

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