1ページ殺人

11人目

今日も退屈な1日が始まった。

まだ木曜日なのだ。

早く家に帰って猫と一緒に寝たい。

今はお昼休みで、中庭（なかにわ）の階段に腰（こし）掛（か）け、カレーパンを食べている。

先程から中庭で気合（きあい）の入った生徒が叫（さけ）びながらバドミントンをしてる。

「溝渕（みぞぶち）！いっきまぁす！」

そう叫ぶと羽（はね）を拾（ひろ）い上（あ）げラケットを振（ふ）り下（お）ろし...

パシュッ......ポテ......

気合だけは十分（じゅうぶん）にあるが、あまりうまくないようで先程から空（から）振（ぶ）り続きだ。

「星津（ほしつ）スマァッシュッ」

シュッ！！！　　カランカランッ

元気に叫ぶが、ラケットが手から離れて飛んでいった。

危ないな...

なぜさっきから名前叫んでるんだろうと思っていると、ラリーが続かず怒（おこ）っている。

「もー。全然ラリー続かないじゃん！」「きっと風のせいだよ！」

無風だぞ？

既に20分ラケットを振り回しているが、一向（いっこう）に当たらない。

中庭ということもあり、先程から人が行き来しており、教員（きょういん）はバドミントンの様子を見て笑顔（えがお）で通過（つうか）していく。

「星津（ほしつ）スマァッシュッもう一丁（いっちょう）！！」

振り上げたラケットはまたも手から離（はな）れて空へ飛んでゆく。

そのまま弧（こ）を描（えが）きながら落下（らっか）していきーー

ガンッ！！カラカランカランカランッーー

バタッ

中庭の廊下を歩いていた教員の首を直（ちょく）撃（げき）し倒（たお）れた。

近くにいた生徒と教員が駆（か）け寄（よ）り取り囲（かこ）んでいく。

星津（ほしつ）と溝渕（みぞぶち）もあわてて駆け寄っている。

星津（ほしつ）は動揺（どうよう）しているようで、阿波（あわ）踊（おど）りのようなポーズで走り、3回も転（ころ）んでいた。

次第（しだい）に人が多くなり姿（すがた）は見えなくなった。

ま、大丈夫だろう。

おいどんはその場を後にし、午後の授業の準備にとりかかったのだった。

夕方ネットニュースを見ていたら、今朝のことが書かれていた。

本日、和歌（わが）使（し）高校にて人が倒れたと通報（つうほう）があり、救急車（きゅうきゅうしゃ）で搬送（はんそう）されたが搬送先の病院で死亡が確認された。

亡くなったのは同校の生徒、星津（ほしつ）いちごさん(18歳)

死亡原因はアナフィラキシーショックとみるられる。

また同校教員も転倒時、首筋（くびすじ）に痛みを訴え搬送され、脊髄（せきずい）損傷（そんしょう）の大怪我を負（お）ったーーー。

え、アナフィラキシーショック？！

蜂（はち）いたっけ…？？