魔法の使い方
柊かすみ
第_話 - Prologue
「歌は世につれ世は歌につれ」とは言うものの、魔法の確認で変わったのは歌の方ばかりだった。
魔法が現実の存在として確認されてから、もうすぐ十年になる。この十年間に変わったことと言ったら、特にないと言って差し支えないような微々たるものに留まるだろう。そりゃあ、使えない人もいる魔法が一般社会に及ぼす影響なんてものは限られている。一般人に関係するようなことで言ったら、それこそ、ファンタジー作品の毛色が軒並み変わったことぐらいだろうか。
かく言う俺も、前述の「一般社会」で生きる「一般人」から漏れ出ることはなく、十年前と大して変わらない生活を送っていた。十年前の幼い頃の記憶はもうほとんど失われていたが、それでも、変わらない生活と言えてしまうほどだった。ただ年だけとって通う学校が変わっただけだ。
俺は今でも、魔法が確認されたという事実を信じきれていない。だから、目の前の少女がいくら「自分は魔法使いだ」と主張しても、交番へ送り届ける以上のことはしない、つもりだった。
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