第2話 1&1 (ショート)
状況は5ゲームマッチ中
1ゲーム目こっちが先手で取って
2ゲーム目は向こうが取った
3ゲーム先に取った方が勝ち
今の所
状況は半々
数字だけみれば
だけど今私は勝てる気がしない
確実に相手は格上だ
そう確信している
最初の1ゲーム目
《おかしいな》とは思った
点を取られても
どうも悔しさが感じられない空気
さほど点を取ることに固執してない感じ
私が決め球を決めても
その後のボールの軌道や飛んでいく距離を
視線で追っているのを
こっちも気が付いてはいた
おかしい。違和感を感じる
打っていて下手な人じゃない
寧ろ上手い人
何で私が最初の1ゲーム取った?
1ゲーム取った!っていう達成感がない
答えは2ゲーム目
すぐに教えてくれた
私が苦手なコースにばかり打ち込む
1ゲーム目で拾わなかった決め球を
簡単に返してくる
なんてことない風に
点なんて殆ど取らせてくれない
1ゲーム目
わざとスマッシュ打たせたな。
計ったな
どこまでボールを浮かせれば
どの位置に浮かせれば打ってくるか
わざと…わざとスマッシュ打たせたな。
よくも!
敢えて返さなかったのは
ドライブや何かしらの回転が入っているか
威力の強さ
スマッシュや決め球を打った後、
元の立ち位置や体勢に
戻るまでのスピード見る為か
感覚より目で軌道を追う方が把握しやすい人なのか
相手が誰であっても”確実”ではあるから効率性か
最初の1ゲームは全て私のプロファイリングで…
随分と把握されてしまったな
だけども1ゲーム捨てずに
勝ちながら情報取集出来る
全く歯が立たない相手だっている
向こうがプロファイリングするまでもない
圧倒的な強さで勝っていく人だっている
この人には
ほんの少しだけ隙がある
苦手なパターンもあるようだ
そこを狙ってみるしか今の所、勝算は…
2ゲーム目は2点しか取れなかったけど
私もこの2ゲームで全部を把握された訳でもない
まだ幾つか出してない技を持ってはいる
うちチームのエースなら拾えたボールを
この人は取りこぼした
それでも
一通り考えを巡らした結果
『この人に勝てる』
とは思わない
2ゲーム目殆ど点数取れずに
落ち込んだから
でもない
“気の持ちよう”とかで
どうにかなる実力差ではない
確実にこの勝負は負ける
向こうが1ゲーム捨てて
慎重にプロファイリングに使うという
やり方でなかったとしても
テクニックだけでも向こうの方が
実力が上だ
この試合は 完全に 確実に
負け戦
じゃあ だからこそ
格上と踏んだ相手に
どこまでいけるか試してみようか
お気に入りのタオルで
汗を拭って、汗を拭って、
あせを…
悔しくなんかない…!!
ここまで勝ち上がって来たのに
なんて思って
私に負けた人の分も頑張らないとって
思うタイプじゃ…じゃ…
ない!!
目を瞑って
暗闇の中
声援はサイレントモード
静寂の中
「一本集中。」
と心の中で呟いたなら
さぁ、行きますか!
3ゲーム目
状況は1ゲーム1ゲーム
数字だけなら
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