シェヘラザードによろしく
オカダケイス
序文
諸々の事情を簡潔に纏めると以下のようになる。
新作小説の執筆に行き詰まったわたしは、この状況を打破すべく、悪魔召喚の儀に踏み切った。
首尾よく現世に顕れた悪魔に、わたしは幾つかの要求を出した。
新作小説を執筆するために必要な、新しいアイデアの捻出、執筆速度の向上、そのような物事を。
わたしの申し出を一通り聞き終えた後、悪魔はこう言った。
「では、これより先、日毎、一日につきひとつ、物語を作れ。
それができなければ、そのときはお前の命を貰う」
「あー」
わたしは唸った。
「そういうタイプのやつかー」
「期間は本日この場より百年間とする」
「そんな」
わたしは言った。
「せめて百日間にしてください」
「しょうがないな」
こうしてわたしは、死を回避するために、これから百日間、一日につきひとつ、物語を書き続けなければならなくなった。そのような次第である。
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