第168話 招集伝達
《魔物を浄化しました。3500MPがチャージされます。コアを回収しました》
「よっし、終わったな」
「お疲れさまでした」
「そりゃお前だろうがよ」
「え?」
「ったく、あんなバカでけぇピュアラファイ初めて見たぜ。魔力大丈夫かよ?」
「はい。あれくらいなら全然」
「……ブッ、ハハハハハハハ!!」
「えーと」
「どんだけ魔力あんだよお前はよ!
「えーと、この前計測してもらったら花織さんより多いくらいでした」
「花織さんより!? そりゃあ余裕なわけだ」
「花織さんは他の人より多いほうなんですか?」
「お前、師匠になってもらったのに花織さんの魔力がどんなものか知らねぇのかよ」
「いえ、なってもらったというより、花織さんからお願いされたというか……」
「花織さんから?」
「はい。元々は逢沢優海さんが師匠なんです。技能試験を見て私に興味を持ってくださったようで、優海さんの許可は得たから師匠になりたいって言われて」
「そうだったのか……」
「だからその、取り入ったわけじゃ……」
「ああ、それは分かったよ。あたしの勝手な思い込みだ。悪かったな」
「あ、いえそんな」
ようやく分かってくれたようでホッとした。
「いいぜ、気に入った。姫嶋だっけ? 確か北見さんから手伝うよう言われて来たんだったな」
「はい」
「あたしの戦闘スタイルは見た通りだからよ、あんま参考にはならねぇと思うが」
「いえ、とても参考になります。特にデュプリケートがすごくて」
「ああ、そういやデュプリケートについて聞いてたな。やりたいのか?」
「そうですね、身につけたいとは思います。危険だと言われて避けてましたが」
「誰にだ?」
「葉道歩夢さんです」
「あー、あの天才か」
やっぱり有名なんだ。
「さすがによく分かってるな」
「どういうことですか?」
「んー。詳しくは花織さんに教えてもらえばいいが、デュプリケートは魔力制御を極めて初めて有用になる戦術だ」
「魔力制御?」
「危険って言われるのは10キロメートルエリア相当までの話だな。魔力制御が下手だと魔法の杖を壊したり体にも大きな影響が出る。だからやるなって言われるのも仕方ねぇ話だ」
そうか、それでイブシャークを浄化した時に倒れたんだな。
「けど、
「どうしてですか?」
「一つのスタイルだけを極めるのは何年という時間が必要になるんだ。その間ずっと強い魔物と戦わないなんて、そんなわけにはいかねぇだろ? だからデュプリケートで補強すんだよ」
「なるほど!」
「だがそれには完璧な魔力制御が必要になる。そればかりは天才のセンス任せってわけにはいかねぇ。ちゃんと訓練しないとな。葉道もそれを分かってるから手を出さねぇし、お前にも警告したんだろうな」
「そうなんですか、ありがとうございます」
さすがに50キロメートルエリア担当だ。デュプリケートについての謎が解けた。
「さて、姫嶋まだ時間あるか?」
「はい、大丈夫です」
「よっし、ならもう少し仕事すっか!」
「はい!」
* * *
もう少し、と言いつつ夕方まで魔物を追い回して38体もの魔物を浄化した。うち3体はポラキオノゥス含めてランクA+、5体がランクAだった。
ポラキオノゥス以外は生島のサポートしてるだけだったが、こんなに魔物を追いかけ回したのは初めてだ。さすがにキツいな……。
「へー、ランクに新基準ね」
「はい。無印のランクAが10キロメートルエリア相当、ランクA+が50キロメートルエリア相当……だそうです」
「なるほどな、こりゃ確かに分かりやすいな。今までなんとなくで
「それでちゃんと実績あるのがすごいんですけど……」
「そうか? 他の奴もだいたいそんな感じじゃねーの?」
「そんなわけないでしょー」
いつの間にか後ろに魔法少女がいた。ショートの黒髪にメッシュカラーで黄色が入っている。夜空を思わせるドレスが印象的だ。
「おう、
「えーと……」
「こいつは柏木
「は、はじめまして! 10キロメートルエリア担当の姫嶋かえでと言います!」
「あら、あなたが姫嶋ちゃん?」
「え? は、はい」
「へぇー? 話に聞いてたより可愛いじゃない」
「え!?」
「気をつけろよ姫嶋。そいつは女好きだからな」
「ええ!?」
「もう、バラさないでよ。ヤり辛くなるでしょ?」
字が違うよ!? 誤植かな!?
「えーと……」
「逃げちゃだーめ」
「ひぅっ!」
耳に吐息がぁぁー!!
「えー? 顔真っ赤じゃん! かわいいー!」
「おい、そのへんにしといてやれ」
「え? 水七海が止めるなんて珍しいじゃん」
「それより、なんの用だ?」
「そうそう、招集だよー」
「招集だと? わざわざ口頭伝達でか?」
「うん。魔物のランク基準が変更になったのは知ってる?」
「ああ、さっきな」
「それについて詳しく話すからって」
「んなもん杖にメッセージ送りゃ済むことだろうが」
「私に言わないでよー。とにかく伝えたからね! 本部集合だから! ――そうだ、姫嶋ちゃんも来る?」
「え? でもそれって、
「将来的に
「えーと……」
「いいんじゃねぇの? 姫嶋も
「まあ、そうですね」
「じゃ、行こうぜ!」
To be continued→
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