第114話 技能試験㉑ - 独自試験(廷々紫)4
謎のドレスになってから、
〈またもや狙撃をバリアで防ぎました! これは無敵か!?〉
〈確かに、クリュッカの狙撃を正面から軽々と防いでる様子を見るに相当な防御力ですが、ハーバリオンの火炎弾はその比ではありません。どう対処するのか注目ですね〉
〈おっと! 今まさに的場さんが話した火炎弾が放たれます! どう対処するのか!?〉
誰もが火炎弾の防ぎ方、あるいは避け方に注目していると、予想外の答えが待っていた。
「なっ!?」
「紫!?」
歩夢も思わず一歩前に出る。会場には悲鳴が響いた。
〈な、なんと……これはどうしたことか!? 直撃! 直撃です! 火炎弾が直撃しましたー!!〉
〈……まさか〉
皆が注目する中、火炎弾の
〈これはすごい! まさかの無傷だぁー!!〉
〈これは、わざと受けましたね〉
〈わざとですか!? ――もしかして、あのドレスの性能を見せたかったんでしょうか?〉
〈いえ、廷々さんは自慢したり誇示するようなタイプではないのでそれはありません。どちらかというと、この術式――と思われる青いドレスの性能を試したんじゃないでしょうか〉
〈まさか……この独自試験で術式のテストですか!?〉
おいおいマジかよ。試験の最中に新型のテスト? 無理してるどころか余裕じゃねーか。
〈かなり大胆ですが、今回の独自試験に限っては、より実戦的なセッティングなのでテスト環境としては有りですね。まさかそんな発想をするとは私も神楽も思いもしませんでしたけど。それに、試験中に術式を試してはいけないという決まりや規則もありませんから〉
〈とはいえハーバリオンとクリュッカ相手にそんなことをするなんて……かなりの自信作ということでしょうか?〉
〈そうですね、自信があるからこそのテストでしょうから〉
クリュッカの狙撃もハーバリオンの火炎弾も効かない、まさに無敵状態となった紫は右手でハーバリオンを指差す。すると
〈今度はなにが起きているのか!? 見えない攻撃がハーバリオンを滅多打ちだぁーっ!!〉
〈これは凄まじいですね、あっという間に倒してしまいました〉
〈そして変わらずクリュッカの狙撃を正面から受けながら二体撃破! ケノカスも余裕で撃破です! なんという幕切れでしょうか! ――では的場さんに総評をお願いします〉
〈そうですね、普段は大人しいけど意外と大胆。という印象が残る内容でしたね。廷々さんは10キロメートルエリア担当の中でもサポート役や司令塔として有名なんですが、攻撃に関しては弱いイメージがありました。今回見せた謎の術式はそのイメージを払拭する性能でしたね〉
意外と積極的だなっていうのは時折感じてはいたが、初めて魔法少女としての紫を見て、これほどまでに大胆な戦い方をするのかと俺も驚いた。
〈では、あのクリュッカの狙撃を防いだバリアについて解説をお願いできますか?〉
〈実はあの時、狙撃が防がれた瞬間に小さい
〈水飛沫ですか?〉
〈恐らくですが、あれは水を操る術式なのではないかと〉
〈水を操る!? それはもはや
〈確かに、水を操るとなると元素を操る魔法――いわゆる
〈限定的と言いますと?〉
〈例えば操れる範囲。手の届く範囲しか操れないとか、遠くても精々2,3メートルまで。といった具合です。このように限定的であれば術式でも簡易的に操ることは可能なのではと思います。……とはいえ発想があまりに斜め上ですし、術式に落とし込むのは容易ではありません。魔法全体の魔力
100キロメートルエリア担当の的場から認められたのは大きい。これなら問題なく昇格できるだろう。
そういえば紫はA判定何回貰ってるんだ?
〈廷々さんは今回A判定なら昇格試験の条件を満たすことになりますね〉
〈50キロメートルエリアの中にもサポーター・司令塔はいますが、廷々さんが入るとなると大きく変わりそうですね〉
〈
〈50キロメートルエリア担当の日暮
〈つまり、廷々さんが100キロメートルエリアの方々と仕事することもあり得るということですか?〉
〈もちろんそうです。なにかしらの緊急事態で呼ばれる可能性は十分にあります〉
〈なるほど。今回新たな境地を見せた廷々さんは今後も活躍しそうですね! ――さて、これで独自試験も終了となりました。皆さん創意工夫が見られて私も実況していて楽しかったです! 的場さんも最後になにか一言あればどうぞ〉
〈最後は廷々さんが派手に魅せてくれましたが、他の方々も困難に立ち向かい、知恵と勇気で窮地を打破する見事な戦いを見せてくれました。この試験はもう二度と受けることはありませんが、今日の経験を
〈私も皆さんのご活躍を願ってます! 的場さん、本日はありがとうございました!〉
〈ありがとうございました〉
To be continued→
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