第十六話 アルファを倒す方法
「待て」
「あ?」
仮面男に呼び止められた。
「話にはまだ続きがある」
「何だよ」
「アルファの目的についてだ」
「目的?」
「アルファはここ、日本で大量繁殖しようとしている」
「マジかよ……」
「沢山のアルファを生み現、女王は息絶える」
「女王? 冷夏の予想通り王がいたのか」
「あぁ。アルファを生み、女王が息絶えるとアルファは新しい女王を探す」
「新しい?」
「人間の中には、様々な種類の血がある」
「は?」
話が逸れ、意味の分からない話をしだした。
「俺みたいにアルファと血が混ざってる混合種。純粋な日本人の血しか入っていない純血種とかさ」
「たしかに。言われてみればあるな」
海外の血が混ざってるハーフもいるし、怪物と混ざってる人がいてもおかしくはねぇよな?
いや、おかしいだろ。
「アルファが狙うのは主に純血種だ。特に日本の純血種を」
「何でだ。理由があるだろ?」
「美味い」
「は?」
「喰らうととにかく美味いんだとよ。これは本当かは分からねぇけど。あとは他の国の純血種より桁違いに力を得ることができる。これが日本の純血種が狙われる理由だな」
「なるほどな。アルファが力を得ると言っているけど見た目が変わったりはするのか?」
「ある程度の力を得て蓄えることができると背中に十字架が表れる」
「十字架?」
「これは先祖も分からなかったらしい。ここは全くの不明だ」
「分かった。俺からも聞きたいことがある」
「何だ」
「アルファは俺達には見えない壁に阻まれて他の国にはいけないらしい。これは?」
「見えない壁か。これが先ほども言った結界だ」
「結界……」
「とある巫女が遥か昔に囲った結界だ。国民は犠牲になるがアルファを国外に出すわけにはいかない。更に被害が広がるってことで国を囲ったんだ」
「……」
「お前達、国民はある意味被害者だ」
「そうか」
「今、何を考えてる?」
「……アルファを倒したい。両親や友達の仇をとりたい」
「そうか」
ただ、仇をとって幸せを取り戻したい。
それだけだ。
「なら、お前にアルファを倒す方法を授けよう」
「助かる」
「黄昏時、青く光るアルファを見たことがあるか」
「ないけど、仲間から聞いたことがある。あれはアルファが発していたのか」
「アルファと言っても全てではない。あの光は特定のアルファしか発光しない」
「あの光でアルファは何をしている?」
「交信」
「交信? 何の意味で?」
「今日の成果や明日の報告事項などだ。人で言う電話をしているような感じだ」
「あー」
「その交信をする特定のアルファの中に女王の傍に控えている側近アルファも入っている。黄昏時、側近アルファ達が交信している数十分のみ、女王が無防備になる」
「そこを狙うってことか」
「そうだ。女王さえ倒せればアルファは共倒れしていく。完全に消滅して、見えない結界もいずれ消えるだろう」
「そうか。女王はどうすれば倒せるんだ?」
「
「聖生……」
「聖生はどんな形をしているか、どのぐらい頑丈なのかなどの情報が何もない」
「分かった」
話は終わっただろう。
俺は冷夏達のもとへ戻ろうとして、あることを思い出した。
「俺、河野水谷って言うんだ。名前は?」
「
「時雨か。教えてくれてありがとな!」
「ああ。倒せることを祈っている」
「おうよ!」
俺は時雨に向かって拳を突き上げ、今度こそ冷夏達のもとへ走って戻った。
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