黄昏時、俺は生きた

田中ソラ

プロローグ

「冷夏?」


「なぁに。河野」


 頭から血を流す目の前の女。死に際だというのに、どこか余裕を感じた。


「お前、どうして……」


「そんなの分かんないよ。ただ、河野のことを……」


「冷夏? 冷夏!!!」


 女は何かを俺に伝える前に死んだ。



「ははっ」


 それは黄昏時。夕焼けが綺麗な日だった。





 俺は分からなくなった。


 生きる意味。死ぬ意味。


 殺す意味。殺される意味。


 愛す意味。愛される意味



 それは誰にも分からない。




 神のみぞ知る、未知の世界。



 いや、神も知らない世界かもしれない……。




「絶対に倒してやるよ。アルファ!!」




 どこからか、悲鳴が聞こえた。

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