第3話
ミーンミンミンミンミンミミー
今、私は縁側で、タンクトップに半ズボンを身に着けて、蝉の鳴き声を聞いています。
ヴヴヴヴ ウィーン
傍らにあるのはえっちな振動するピンクの物じゃなくて、真ん中が空いてて指を入れると危ない昭和時代の扇風機。
こんな物があるなんて古い家ね。流石は田舎の……ぷっ…くくっ…ふふふ……
ヴヴヴヴウィーンって鳴りながら指を入れると危ないブツ……くくくく……あははは……
「あははははは!!! ……はぁ。」
死にたい。
ガラガラガラァ
「えーっと…スイカ切ってきましたけど、大丈夫ですか?」
私が納屋で羞恥プレイをしてしまった後、お風呂でシャワーを浴びさせてくれてタオルと着替え(下着は流石に入らなかった)を用意してくれたお姉さんが、今度はスイカを持って現れた。
「ああ、はい…人間の食べ物も食べれるので……」
「あ、そっちではなくて…」
「天気…」
「へっ?」
「天気良いですから…直ぐに乾きますよね……」
「そう…ですね……」
言葉を濁すお姉さん。
それを受け止めずに流す私。
もう少し…もう少しだけさっきのを忘れていたい……でも、いつまでもこうじゃダメよね。ちゃんと向き合わなきゃ。
「……私、2000年以上生きてるサキュバスなんですよ」
「2000年!? え? 紀元前から?」
「昔はこれでもサキュバス達のリーダーだった事もありまして、みんなが私の真似をして仕事してたりもしたんです」
「は、はぁ…」
「余りにも有名過ぎて『最初の女』とも呼ばれた事もあるんですが、それが男の子に触られただけでああなるなんて……ショックで死にたくなりました」
ササッ
「私とアキラが失礼をしました。申し訳ありません」
私の話を聞くなり、そう言ってさっと土下座をして謝罪するお姉さん。髪の手入れは無作法だけど、しっかりした教育を受けてるみたい。
「頭を上げて下さい。お姉さんもアキラきゅ…くんも悪くないですよ。私が粗相をしただけで…」
「アキラの奴、普通の人より魔力だか精神力だかが高くて、そっち方面の人が触れるとおかしくなるんです」
「えっ?」
土下座をしたまま語り出すお姉さん。
確かにアキラきゅんの手から吸収した精は凄かったけど、そんなのってあるの?
「なので、そっち方面でも女神様みたいに神聖な方なら大丈夫と思ってあの魔導書を渡しました。あなたが召喚されたのは私のせいです。本当に申し訳ありません」
そこまで言うと一度顔を上げ、再度深々と土下座をするお姉さん。
そういう事ならお姉さんも原因の一部なのかな?まあでも、アキラきゅんは悪くないと思う。どれだけパワフルでテクニシャンな精をしていたとしても、ショタだからと油断していた私の括約筋が悪いのだし。
「こうしておじいちゃんの家に来ているのも変な奴らからアキラを遠ざける為で…」
はぇー、私の契約者大変ー。
って事は私はさっさとアカピッピをどうにかして帰った方が良さそうね。手で触られただけであんなんになるアキラきゅんとぬるぬるくんずほぐれずぐっぽくぽプレイしてみたいけど、他所とのバッティングとか嫌だし。
って、そう言えばアキラきゅんは?姿が見えないけど、もしかして………
ああ、やっぱり。
「あのー、お姉さん。つかぬ事をうかがいますけど……アキラくんって時速80キロで走れたりしますか?」
「時速80キロ? 車じゃないと無理じゃないですか?」
ですよねー。
「えー、凄く言いにくいんですが……アキラくん。その車じゃないと無理な速度でここから遠ざかってます。もうそこそこ遠くに」
「えっ!? アキラっ!! アキラぁ!!?」
まあ、叫んでも聞こえない距離なんですけどそうなりますよねー。うんうん、様式美様式美。
「早く、早くアキラを助けなきゃ! 私がアキラから目を離したから!! ああ! お母さんからちゃんと見ていてって言われてのにっ!!」
わーお、めっちゃ取り乱してる。お姉さん実はブラコンー?まあ、アキラきゅんきゃわいいから仕方ないよね。
それにしても、既に他所とバッティングしてたか。
あーあ、あんまり対立とかしたく無いんだけどなぁ……仕方ない。契約者の為だし、人肌抱きますか。
「(もしもーし、アキラくーん。聞こえるー?)」
『えっ、女神さま!? どこどこ?』
よしっ、契約の繋がりはOK。
普通なら誘拐した後に魔術的な物で外部との関りを遮断するんだろうけど、そういうのが無いって事は向こうは素人さんかな?
「(あ、声に出さなくてもいいよー。心で思ってね? それで聞こえるから)」
『あのねー、今女神さまが声に出さなくてもいーよーって言ってるー』
……おおう。アキラきゅんめっちゃ素直。
こっそり救出しようって思ったのに、これは相手にバレたね。うん。
『今ねー、なんとかのよあけって人達とねー、アカピッピミシミシガメを捕まえに行くとこなのー。えっとねー、うん。ないしょの場所に行くからー、女神さまにも言っちゃダメなんだってー』
あー成る程ねー。同業者じゃなくて人間相手かー。
じゃあ余裕じゃん。バッティングとか全然関係ないじゃん。やるか。
「お姉さん。今確認しましたけど、アキラくんは宗教団体に誘拐されたみたいですね。怪我とかはしてないみたいです」
「あんのバカっ! 知らない人には付いていくなってあれ程言ったのに!!」
アキラきゅんが無事な事が分かったからか、先程まで真っ青だった顔を逆に怒りで真っ赤にさせるお姉さん。
召喚した相手とはいえ私にも物おじせずに話しかけてきてたんだし、アキラきゅんって多分人懐っこくてあんまり疑うって事を知らない子なんだろうね。じゅるり。
「でもどうしよう! どうやって助けたらいいの!? 警察!? 救急!? 消防!??」
「警察と救急はともかく、消防は違うんじゃないですか?」
「もうっ! そんなのはどうでもいいの!! 早くアキラを助けなきゃ!!!」
いやー、仕方ないとはいえ余裕無くなってるねー。他人のこういう姿見てると逆に落ち着くって本当だわ。全然不安になんない。
それに、相手が人間で契約者の意識がはっきりしている状況なら私にとっては全然焦る事じゃないしね。
これが同業者相手でもその後が面倒だからやりたくないってだけで、だいたいの相手なら私の方が格が上だから問題無いし。
「じゃあ、今からさくっと助けてきますね。アキラくんの分のスイカも用意しといて下さい」
「そう! だから早く助け……えっ?」
イソイソ
とりあえずお姉さんを落ち着かせ、用意して貰ったタンクトップと半ズボンを脱いで全裸になる。
「な、なんで脱いで…」
「あ、後で着るんでこのままでいいですよ? じゃ、ちょっと行ってきます」
最初の胸元チラ見せの誘惑が通用しなかった時点でアキラきゅんに私の魅了が効かない事は判明している。
お姉さんには若干効いていて無条件で私に優しくしてくれる様になっているんだけど、これは私が特に力を込めていないからその程度で済んでいるだけ。
つまり、単なる人間相手ならば、この夜の女と言われた私の魅了に抗える相手なんてそんなにいないのだ。
ビュンッ!!
「え、消えた?」
さーて、久しぶりに本気を出しますかね。うふふふふ。
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