第42話 悪魔な俺

 俺達は百式と、結界装置をドワーフの街で手に入れて、防府基地へと戻った。

 俺達が持って帰った、結界発生装置は、北部九州への移住計画を進めていた東司令には、根本的な方向転換を突き付ける形となる。


「勇気君、この先もこの結界装置は手に入るのですか?」

「それは、僕は何とも言えません。世界人類を救うために行動してる訳じゃ無いですから、積極的にそれを手に入れる行動をする訳じゃ無いですし、、それを欲しいという人が居るのなら入手方法などは、美里さんも知っているんだし聞けば良いんじゃないですか?」


「この結界装置は、この基地に提供して貰えるのですか?」

「いえ、基地に提供する訳では無いです。僕の家族や仲間の知人が安全に暮らせる空間を確保するために、彼らが存在する場所に提供します」


「そうですか……」

「当然、美里さんの知人である東司令達は含まれてますけどね!」


「ははっ、そう言って貰えると嬉しい事だけど、私はもっと多くの人を守って行けるように、多くの結界装置を手に入れたいと思うよ」



 ◇◆◇◆ 



 現状では結界装置を展開したとしても、10㎞四方の空間内部にモンスターが存在しない場所がすでにないため、結界を有効利用し用と思えば、結界を展開した後に、その内部に存在する敵を一度殲滅する必要がある。


 俺達は、既に変異をしている、うさ耳先輩達と、徳三さん達を呼び、自衛隊の方は美里さんにお願いして、結界内部の敵を殲滅する作戦に出る事にした。


 既に☆5まで成長してる徳三さん達は生身でも十分強いな。

 うさ耳先輩達ではウルフは厳しいか。


 結局は、俺達7人以外では、ブラックウルフな自衛隊員10名と徳三さん権六さんよねさん菊江さんの特養出身者たちで、殲滅作戦を行う事になった。


 でも徳三さん達には基地周辺しか頼まないよ?

 ブラックウルフな人達もね。


 一辺10㎞四方という条件を、最大限生かすために、東指令が最適な結界展開場所を指示してくれた。

その場所は、防府駅だった。


 俺達は、ギャリオンに搭乗して、防府駅に向かうと結界装置を起動した。

 

 結界を起動したら、透明なんだけどなんとなくここまでが範囲なんだなって、解るような壁は感じる事が出来た。


 結界への出入りは東西南北に一か所ずつある、出入り口からしか出入りは出来ない様だ。

 転移はどうなんだろう? 後で愛美に試させてみよう。


 さぁここからが本番だな。


 俺は美里さんに指示を出し、取り敢えず合体を解く。

 そして、フェンリルへとトランスフォームすると、遠吠えを上げた。


 わらわらと結界内部に存在していた、ウルフが湧き出て来た。

 絶対零度の空間を作り出し、近寄ってきたウルフを凍らせて、里香達が砕きまくって行く、奈沙と沙愛の双子コンビが熊本のゴーレムで大幅強化されていて、中々強いな。


 戦闘力では、愛美と美里さんがちょっと低い様だけど、それなりに頑張ってる。

 

 俺は少しずつ範囲を広げながら、それから2日間ほどを掛けて。結界内部のウルフ達は、ほぼ殲滅させた。


 後は東指令に任せる事にする。


 俺達7人と徳三さん達の誰か一人が、必ず乗車するようにした、護送バスでスピーカーから、『この地域は解放されました。解放本部となる、自衛隊基地へ一度集合して頂く事になります。このバスに乗車して頂ければ案内します。食料や、お風呂も用意してあります』


 そう放送を繰り返しながら、結界内をバスで廻った。

 結局、結界内部にいた、住民の人達は2万人を下回る程度の数ではあったけど、この先は結界内部から出ない限りは、安全が保障される事にもなる。


 

だが、新たな問題も湧き上がる事になった。


 自衛隊基地の外から救出された人たちは、ほぼ融合を果たしていない人たちだった。

 その人たちが、「融合をした人達は人間では無いから一緒に住む事は出来ない」

 と、声高々に叫び始めた。


 自衛隊内部で元々保護されていた人たちの中にもその意見に対する賛同者が出始めた。


 今までの社会で市会議員を務めた人が、純粋種以外の人間は結界内から立ち退くように、と言う決議書を持って、東司令に詰め寄った。


「この結界は、魔核と言うダンジョン内で集められるアイテムが無いと維持も出来ないし、それはあなた方の言う純粋種な人達で集める事なんかできないですよ?」


 そう東指令が伝えると、「お前たちが化け物人間たちに命令して取ってこさせれば買ってやる」と言う返事が返って来たそうだ。


 俺は、心を鬼にした。


 純粋種の考えに賛同する人達は取り敢えず、一緒に住む事はマイナスでしか無いので、自衛隊基地から退去して貰った。


 既に、結界発生装置から電力の供給もあるので、そう問題も無く退去自体は行われた。


 俺の家族は、基地に残る選択をしてくれてほっとしたよ。

 純粋種で暮らす決定をした人達が、基地内部からいなくなると、「俺は人類の敵と思って貰って構わないですけど、あんな人達の為に俺の持ち物を貸すつもりはありません」そう言って、愛美の転移で防府駅に飛び、結界装置を回収した。


 再び、自衛隊基地に戻り、基地周辺のみを囲う範囲で結界を再度張り直すと、「東指令、今後どうされるのか決まれば、また次に来た時に話を聞かせて貰えますか?」


 そう伝えると、俺は里香、香奈、奈沙、沙愛、愛美、美里そしてミコを連れて、基地から出て行った。


「みんなも、俺の行動が納得いかなかったら、ここで別れて貰ってもいいからね」


 そう伝えたけど


「馬鹿じゃないの? 離れるわけないじゃん。皮の中身の成長日記付けなきゃならないんだから」


 そう愛美が口に出すと、みんなも笑顔で頷いていた。


 俺人類の敵になっちゃうのかな?

 そう思いながら、ギャリオン零式を取り出し、美里の号令で合体コンバインして大空高く飛び上がった。

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