第22話 新メンバー

 俺は、あららぎさんと言う自衛隊の一尉の女性に対して、自ら情報をカミングアウトした。

 これによって、東一佐と蘭一尉がどういう反応を取るのかは解らないが、俺が自衛隊や、国に対して支配下に入ると言う選択は無い事も告げた。


「勇気君に自由を保障する限り、君の家族の居るこの基地にある程度の物資は補給をしてくれると言う事かい?」

「そうですね、でも、ここだけでも1万人以上がいるなら、他の場所に支援をする事はほぼ不可能ですから、そう言う要請を受ける気はありません」


「そうか、出来る限りの協力を頼む」

「勇気君もう一つ良いかな?」


「蘭さん何でしょうか?」

「君と一緒に来たウルフのセーラー服の子は、クラスはなんなの? 髪の毛の色とかが見た事も無い色になってるし……」


「彼女はオリハルコンウルフですね。蘭さんから見れば4つ上のクラスになります」

「どうやったらランクは上がるの?」


「自分と同じランクの敵を100匹倒すか、該当ランクの敵を倒せば進化しますよ。レッドウルフから上だと、銃弾などでは皮を貫けないから、結構厳しいですけどね」


「彼女はどうやってランクを上げたの? 普通の女子高生だよね?」

「ああ、ブラックウルフで覚える統率ってスキルを持っていますよね?」


「はい」

「それは、パーティ機能みたいなもんですので、統率を発動した人に対して、服従をすれば、敵を倒す数にカウントされます。当然パーティが増えればそれだけ沢山の数を狩らなければならないんですけど」


「ていう事は、私でも勇気君に対して服従すれば、オリハルコンウルフまでは上がれるの?」

「まぁそうですけど……」


「私を連れて行って貰えない?」

「それは……」


「勇気君、私からもお願いしたい。君と一緒に行動する事で手に入る情報が、必ず人々の手にこの街を、いや、この世界を取り戻すための大きなヒントになる筈だ」

「解りました。その替り俺の家族の事はよろしくお願いします」


 結局、俺は蘭さんも連れていく事になった。

 もし、連れていく事でマイナス要素が出れば、すぐに送り返す事は告げたけど若干の不安はあるよな。


 ただし、自衛隊の中でも幹部隊員であった蘭さんを仲間に入れる事で、連絡が付いていた時に入って来ていた情報を知る事が出来るので、次の行動目標等は決めやすいかもしれない。


 里香とミコと愛美さんが女性区画に居たので基地内で使っているトランシーバーで呼んでもらって、合流した。

 父さんに、基地内に発電設備はあるけど、燃料問題で出来る限り使わない様にしているから、出来るなら燃料を調達できないかと頼まれた。


 収納に液体のまま入れる訳には行かないから、どうしようか考えてたら、蘭さんに石油会社の備蓄基地に、タンクローリーがある筈だから、車ごととか運ぶ方法は無いかと聞かれた。


「えーと、恐らくタンクローリーごとでも収納できますけど、俺達、高校生だから石油の補充の方法なんて解りませんよ?」

「私が、たぶんできるから、連れて行って貰える?」


 蘭さんがそう言ったので、とりあえずの次の目標は、周南市の石油基地になった。

 大きな、物流センターもあるらしいので、ついでに物資があれば補充したいな。


「愛美、うさ耳先輩達は大丈夫そう?」

「うん。女性ばっかりの区画だし、勇気の出してくれたお菓子で、いきなり子供達の人気者になってたから、大丈夫だと思うよ」


「そっか、お菓子専門の配給係とかやってたら、ずっと人気者で入れそうだね。他にうさ耳の人もいないし、マジであの中ではアイドル的な立ち位置になるかもね」


 俺には石油の備蓄基地が何処かなんてわからないから、取り敢えず市民球場に愛美の転移で移動すると、俺はエンシェントドラゴンへと、トランスフォームした。

「凄い……」

「蘭さんでしたっけ、下の名前は何ですか? 私達みんなファーストネームで呼ぶようにしてるから、蘭さんもそれでお願いします」


「解ったわ、私が一番弱いみたいだしね。美里みさとだよ」

「美里さん、よろしくお願いします。私は里香です。漢字しりとりみたいな名前ですね。愛美→美里→里香だし、次はきっと香から始まる名前の子の様な気がするね」


「あんまり仲間増やしても俺に利点は無いから、きっとこれで終わりだよ」

「そう言いながら、女の子だらけになってる展開しか見えないけどね」


「ドラゴンの姿でも、普通に会話できるって、凄いシュールだよね…… あのね勇気君。一つ謝っておくね」

「美里さん。どうしたんですかいきなり?」


「ダンジョンの出来た日に、あなたに機銃掃射したの私なんだ」

「えぇ、そうなんですか? いきなり攻撃されて俺相当迷ったんですよ? 反撃しようかどうか」


「ゴメンね。でもその後岩国のF35Bから、ミサイル撃ち込まれても反撃しなかったんでしょ?」

「ああ、そうですね」


「それを聞いた時にドラゴンは、私達の味方なんじゃないかって、思い始めたんだよ」

「ああ、それで見当付けて俺に聞いたんですか?」


「そうだね」


 ミコが服を脱ぎ始めて畳んでから、素っ裸で俺に渡して来るのを見て、美里さんがいきなり「ちょっと勇気君幼女に何させてるの?」って、怒り気味で言って来た。


「美里さん。それちょっと違うし……」

次の瞬間九尾の狐形態になったミコを見て「わぁ凄い超モフモフじゃん」って今度はいきなりミコの尻尾をモフリ始めた。


「って訳で、ミコは里香の従魔だから幼女なのは変化って言うスキルでそう見せてるだけだからね?」

「それにしても、裸の幼女はちょっと駄目な気しかしないよ」


「美里さんそれで驚いてたら、きっと周南市のコンビナートに付いたらもっと、びっくりすると思うよ?」

「それってどういう事? 里香ちゃん」


「まぁ行って見てのお楽しみって言う事で」

「さっさと行こうよ」


 愛美は自前の飛行スキルで行く事にして、里香と美里をミコが長めの襟巻き形態になって、しっかりと俺の脚に巻き付いた所で、俺は飛び立った。

 うさ耳を羽の様に広げて飛ぶ愛美は、速度はあんまり出せないみたいだ。


 ドラゴンの飛翔は、航空力学的に飛べる訳の無い体重バランスだから、重力操作のような要素がありそうだって美里さんが考察してたけど、うさ耳が翼になってるのも十分におかしいからね!

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