第15話 松江①
俺達は松江の街に辿り着いた。
俺達が山口で見かけた、兎型と馬型のモンスターを確認できる。
上空から街の様子を眺めていると、山の頂上付近にある学校の様な建物で、モンスターと人が戦っているような状況が見えた。
「里香、どうするあいつら一生懸命生き延びようと頑張って戦ってるからちょっと手伝ってやりたいと思うが」
「勇気がそんな事言うとか思わなかったけど、私は全然嫌じゃないよ」
「まぁそんな気分の時もあるさ」
「助けるなら早くいかないと、戦況は厳しそうだよ」
ドラゴン姿はそろそろ時間的に、制限時間いっぱいなので、フェンリルへとトランスフォームした。
「ドラゴンから直接フェンリルにトランスフォーム出来るんだね」
「ああ、俺も始めてやってみたが、これが出来るなら若干服の消費量を減らす事が出来るな」
「素っ裸の股間を押し付けられる、展開が減って安心だよ」
「別にわざとやってる訳では無いがな。むしろ結果が分かってるのに顔の向きや態勢を変えない里香の方が求めてるとしか思えねぇよ」
俺達は、学校の見える位置から少し離れた場所へ降りて、そこから学校に向かってモンスター達を倒しながら向かっていく。
ここにいるモンスター達では俺達の相手にはならない。
一通り辺りの敵を蹴散らして、情報収集もかねて学校へと向かう事にして、トランスフォームを解除して服を着た。
ちゃんと学校側から見えない所で着替えたよ?
里香はウルフガールのままだから、どうしようかと思ったんだけど、ここから見える範囲に居た連中の頭の上にウサ耳が生えているのを見て、大丈夫だなと思って里香とミコも一緒に行く事にした。
俺が新たにトランスフォーム出来る様になったモンスターは、
キラーラビット☆……ラビットキック、ジャイロブレード
クレイジーホース☆☆……踏み潰し、絶倫
と、性能的に微妙な能力しか身に付かなかった。
トランスフォームしてからじゃないと能力を使えない事を思えば、現段階でこいつらの力を使う事はなさそうだな。
身体強化などのステータスアップ系は、どの形態でも使えていると見て間違いなさそうだ。
里香もオリハルコンウルフの状態からわざわざ能力を入れ替える必要はないので、そのままの状態だ。
学校の敷地は結構丈夫そうな壁で囲まれていて、グラウンド側のフェンス部分が一部壊されている状態だった。
壊されたフェンス部分には、ラビットがまだ10匹程度群がっていたが、力を合わせて何とか防いでるって感じかな?
俺は里香と、人化してワンピースを着たミコを連れて、群がっているウサギを片付けた。
うさ耳のブレード部分がちょっと危ない気もしたが、所詮☆1つの魔物だから俺の肌に傷をつける事は無かったので、ちょっと安心した。
「大丈夫ですか?」
と聞いてみた。
「全然大丈夫じゃ無いし、何であなたたちそんな強いの? あ、その耳って狼ですよね? 広島から来たんですか?」
「ああ、まぁ色々あってな。今は広島はもうダンジョン無くなっちゃったから、松江に来たんだ」
「ダンジョンが無くなったって、どういうことですか? ダンジョンが無くなったら元の世界に戻れるの?」
「それは、どうなんだか分からないな」
「ここって、何人くらいいるんですか?」
「今はもう全部で50人くらいです、残ってるメンバーは男子に守って貰った子達と、私達だけです」
「ねぇここは女子だけなの?」
「あ、こっち側は女子だけです。男子は反対側の門の方にいます」
「それって、男子と協力した方がいいとか無かったの?」
「それが……」
何だか、その話になるとうさ耳少女たちは口ごもった。
「ん? 何か問題があったのか?」
「はい、男子のリーダーの子が最初に倒したのが、馬のモンスターで、馬の獣人に変異したんだけど、女子を襲う様になって、他の男子達もそれに便乗するようになって、私達はウサギを倒す事に成功してなんとか、襲われずに済んでるんですけど、
襲われた子達は何人も自殺した子もいるんです。
今向こうに居る女子は、諦めて言いなりになってる子達です。
「酷い…… 勇気は露出するだけだから全然可愛いもんだったんだね……」
「おい、なんかディスって無いか? それに露出しようとして脱いでる訳じゃないぞ」
「あの…… お名前聞いても良いですか?」
「あ、俺は勇気で、狼耳が里香、こっちのちっちゃい子はミコだ」
「私はこっちのグループで、リーダーしてる
「あ、そうなんだ。俺達は高1だから、みんな先輩だね」
「あの、お願い聞いて貰っても良いですか?」
「どんな事ですか?」
「ここはもう食料も無いし、男子達に襲われる危険もあるから、別の所に移動したいんです。でも外はモンスターの数も多いし、もっと強いのもいるかもしれないと思うと、守りやすいここから中々動けなかったんです」
「先輩達だけ? 男子は置いて行くでいいのかな?」
「あの人たちを私は許せないんです。私の友達も何人も襲われて自殺した子も居るし……」
「まともな男子のグループは無かったの?」
「いえ、最初は居たんですけど、早い段階で他の避難場所を探しに行くって出て行って、それっきり帰って来てないんです」
「そうかぁ大変だったんだな。ここに居る女子はみんな同じ考えって事でいいの?」
そう聞くと、みんなが頷いた。
うさ耳少女たちをよく見るとみんな制服も血や泥で汚れてて、きっとこの3日間はお風呂も入れなかったんだろうな、ちょっと女性の汗の臭いで、くらくらしそうだ……
「飯食べて無いんだろ?」
そう聞くと、うさ耳少女達は頷いた。
「里香取り敢えず、この子達にご飯食べさせて、着替えて貰ったらどこか他の安全そうな所に連れてくぞ」
「了解だよ、勇気って意外に優しいんだね」
「そりゃ、うさ耳お姉さんだからな。これで網タイツでも履いてくれるなら、全力で守れる自信がある」
「褒めて損した気分だよ……」
「あ、あの? 網タイツってあるんですか? ちょっと履いて見たいかも」
「マジで?」
「みんなで話してたんですよ、兎と言えばバニーガールだよね! って。なんだか獣人化した時に、みんなスタイルもすらっとした感じになって、今なら絶対似合うよね? って言ってたんです」
「それは、とても素晴らしい事だと思います!」
そう言って、人数分のお茶と弁当を出して、この辺りの状況なんかを聞きながらご飯を食べた。
食べ始めて10分くらいたった時に、ちょっと首が長くて尻尾を垂らした男たちが現れた。
「おい、その食糧どうしたんだ。食料があるならこっちに渡せ」
いきなり高圧的だな。
絶対やりたくねぇと思った。
「何だお前ら? 俺は馬に知り合い居ねぇし、初対面でいきなり命令口調な奴と仲よくしようとも思わないからさっさと消えろ」
「ホースマンに進化した俺達にかなうと思ってるのか? いう事聞かねぇならお前を殺して取り上げるだけだし、今まで自由にさせてきたこの女達も、そろそろ俺らの相手して貰わないと、今いる子だけだと壊れちまうからな」
「普通に弱そうだし、お前ら鏡見たのか? 女の子に相手して貰えそうな姿してねぇえぞ」
俺がそう言うと、馬男たちは興奮して「ブヒヒーン」って言いながら俺を取り囲んだ。
「手加減なんかしてやらねぇぞ?」
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