火球なのじゃ


――カンカンカン


 警鐘が鳴っておる。

 夜に一体なんじゃ……。のそのそと縁側へ出て外を見てみたのじゃ。

 

 「火球なのじゃ」


 それは激しく光りを放って流れ去ったのじゃ。

 一瞬で消える儚さは花火にも似ておるかもしれんの。

 下界の花火を見るのは毎年の楽しみじゃったが、今年は見れず残念じゃ。

 

 とまあ呑気な事を思っているわけにはいかないのじゃ。

 下手をすれば天界が被害を受けるし、地球が消滅するかも知れぬのじゃ……。

 一応回避作業は天人全てが協力することになっておる。

 それでもどうしようもない時は滅ぶしかないのう。

 わらわは両手を合わせて祈り、目を見開いて力を使ったのじゃ。

 

 天界も星々の動きには気を付けておる。

 吉凶を占ったり、祈祷で禍事を遠ざけたりするのじゃ。

 

 今宵の火球はなかなか大きかったやもしれぬ。

 もし隕石として地表に落ちたなら、拝借して刀匠に持ち込んでみるかのう。

 

 おのこはああいう流星刀みたいなのが好きじゃろう。ロマンがあるからのう。

 ロマンで滅んでは元も子もないのじゃが。


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