梨なのじゃ

 今年も姉上の所に地上から梨が届いたらしいのじゃ。

 一体どうやって届くのか謎じゃが、「姉上から」と、お菊が梨を切って持ってきてくれたのじゃ。

 

 ありがたいのじゃ。

 ――シャクシャクシャク。

 むふぅ~。たまらんのじゃ。


 昔よりも格段に美味しくなっておる。甘くてみずみずしくてほっぺが落ちてしまいそうじゃ。人の努力と自然の恵みに感謝じゃ。


 最後の一切れを食べようとした時、サッと横から奪われたのじゃ。

 ゆきまるが梨を咥えておる。 

「ゆきまるや。お主……梨を食べても大丈夫なのかの? 」

 あっという間に噛み砕いてぺろりと飲み込んでしまった。

 天界に召し抱えられる猫だけあって、何か特殊なのかも知れぬ。

「にゃーん」

 と、一声鳴いてどこかへ行ってしまった。

 猫も美味しいと言うほどこの梨は美味しいと言う事なのじゃな。


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