ものかきさうし

なゆた黎

人畜無害な過去の話

 正しい使い方

だいぶ前のこと。

学生時代の友人たちと新年会ランチをした時のことである。

なぜだったか忘れたが、ホテルでランチしたんだったんだよね。新年会プランでもあったんだったかもしれん。

で、お手洗いに行ったところ、3つの個室のうちひとつが使用中。友人と私がひとつずつ使い、すべて使用中となった。

すると、小さな女の子たちの声が聞こえてきたのである。

声の感じ、未就学児か。4才~6才くらいかなあ。

トイレにきたってことは、用足しに来たということである。

さて。トイレはすべて使用中である。

そうと気付いた推定未就学児のふたり。

「ぜんぶ、つかってるよ」

「どうしよう、オーマイガー」

推定未就学児たちは叫んだ。

「オーマイガーッ!」

そうして、扉をノックする。

ポコポコと、シータがムスカから逃げ回っている最中のようである。

そりゃあ、必死さ。

必死にもなろうよ。

「オーマイガーッ!」

「オーマイガーッ!」

ドンドンドン!

ドンドンドン!

「オーマイガーッ!」

「オーマイガーッ!」

さあ。大変だ。

外のふたりも大変だが、それ聞いている我々も(少なくとも私は)大変だった。大変だと思った。

外のオーマイガーを聞きながら、のんきに用足しなどできたものではない。しかも、私も友人も着物だ。先に入っていた人は知らんが。

「オーマイガーッ!」

ガンガンガンガン!

「オーマイガーッ!」

ドンドンドンドン!

こりゃあ、マジもんのオーマイガーッだよ、どうしよう、オーマイガッ。

アワアワしていると、先に個室がふたつ空く音がして、推定未就学児たちは九死に一生を得たようであった。

よかったよかった。


生で、こんな切実なオーマイガーを聞いたのは、これが初めてだったかね。

生きた英語を学んだ感じがしたっておはなし( ゚ー゚)

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