遊びにくる妹の友達が全員美少女過ぎる件~なんで俺の部屋でくつろいでんだよ~

本町かまくら

第1話 女子会は俺の部屋にて

「金曜日の放課後を迎えられたことを祝って~乾杯ー!」


「「「かんぱーい!」」」


 現在俺、芹沢英二(せりざわえいじ)がいるのは自分の部屋。

 そう。あの「自分だけの空間」というものが確立された、俺だけの部屋である。


 しかし、今俺の部屋には、四人の美少女がいた。

  

 小動物のように小柄で、それでいて女子バスケ部に所属している、人一倍元気のある青髪ショートボブの美少女。寿花(ことぶきはな)。

 クラスの学級委員で、日本人離れした美しさを放つ、クリーム色の長い髪が特徴的な美少女。朝日舞(あさひまい)。

 陸上部に所属しており、そこで鍛えられた体は引き締まっていて、女子にしては身長が高く、紫色の髪は短くボーイッシュである美少女。三ツ谷海(みつやうみ)。


 そして——


「あっ、お兄ちゃんお菓子ありがとー」


 この状況を生んだ俺の妹、芹沢加奈(せりざわかな)。

 

 黒髪のポニーテールで、俺の妹かと本気で疑い、しまいには血液検査までしてしまいそうになるくらいに顔立ちが整っている。正直、テレビに出てくるモデルだったり女優よりも可愛いと、兄ながら思う。

 それゆえ、やはり若者の街を歩けば頻繁にスカウトされるらしい。それがめんどくさくて、最近は人の多いところには行かないようにしているらしい。


 そんな超絶美少女である妹が、愉快な仲間を家に連れてきた。


 それだけなら全然いい。

 だが、その愉快な仲間たちと女子会を俺の部屋でするのだ。


 迷惑極まりない。

 何度か注意しているのだが、最終的にはこれだ。この有様だ。

 全くどうかしている。なんでわざわざ兄の部屋で女子会をするのか、考えても考えてもわからない。


 それに全員美少女って……俺、ラブコメの主人公にでもなったのかよ。


「あいよ、お菓子」


「んーありがと~」


「お兄さんありがとうございます」


 朝日が丁寧にお辞儀をする。

 

「おー私の好みわかってるーさすがー!」


「英二さん、いつもすみません」


 それに続いて寿、三ツ谷がコメント。

 ってか寿くつろぎすぎだろ。まだ知り合って一か月しか経ってないんだけど?

 でも見た目高校一年生じゃないから許しちゃう。俺は小さい子の味方。


「それにしても、お前らよくそんなに集まれるな。三日連続じゃんか」


 そう。三日連続である。

 

 大事なことなのでもう一度言おう。三日連続である。

 ……ほんとなんで俺の部屋なんだよ。加奈の部屋かリビング行けよ。マジで。


 それに金曜だから、自分の部屋でくつろぎたかったんだけどなあ。


「女の子は話すネタが尽きないんだよ~お兄ちゃん」


「はぁ」


「興味ないのに聞くな! その感情のこもってない返答は受け付けません! すかさずリリース!」


「お前テンション高いなぁ」


「だって女子会中ですから。ささっ、男子禁制なのでお兄ちゃんは持ち場に戻ってくださーい」


「ここ、俺の部屋なんだけど?」


「……かんぱーい!」


「おいゴリ押すな」


 あと、なんで加奈だけグラスがジョッキなんだよ。ほんとに女子高校生かよ。

 でもなぜかジョッキを持っている姿は様になっている。

 ちなみに飲み物はもちろんただのジュースだ。


 まぁそんなツッコみは置いといて、加奈の言う通りに部屋から出ていくとするか。

 なにせ美少女四人とじゃ相性が悪すぎるからな。

 アウェー感がすごいし。大ブーイングよりもタチが悪い。


「まぁゆっくりしていってくれ。ちなみにいつでも、楽な加奈の部屋と広いリビングは空いてるからな」


 一応さりげなく俺の部屋以外の場所をオススメしておき、逃げるように扉を閉める。

 するとすぐに女子会は再開され、和気あいあいとした会話が聞こえてきた。


「全く、なんで俺の部屋なんだか。それに全員美少女とか……世の中何があるかわかったもんじゃないな」


 今は慣れたからいいものの、最初妹が美少女の友達を引き連れてきたときはびっくりしたものだ。

 思わず夢なんじゃないかと思って、頬抓っちゃうくらいに。


 でもなんにせよ青春を謳歌することはいいことだから、ここは一つ上の先輩として、そしてお兄ちゃんとして、部屋を提供してあげますかね。


「さっ、ドラマでも見るか」


 最近定住の地となってきたリビングへと向かった。


 


 至極愉快で賑やかなラブコメディ、始まる——

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