第14話 最強な遠距離はやはり銃なのか、それとも弓なのか
何かが爆発する音、人々の悲鳴、しかし悲鳴を上げている人達はこのフィールドには存在しない。煙の臭いが村長が吸っていた葉巻とは似ても似つかぬ気持ちの悪い臭い。
それが人間を燃やす臭いだと分かる。
地面に転がった死体が真っ黒こげになっているからだ。
ジェイクは100人の銃兵を倒せなくてはいけない。
彼等はこちらを射程にターゲットしたようだ。
こちらが少しでも動けば発砲するだろう。
ジェイクは冷静に呼吸をする。
相手が物陰に隠れてこちらを射殺しようとしているなら、こちらは弓矢で敵の死角で射殺すしかないのだ。
その為にやれる方法とは何かだ。
【移動スピード上昇】を使用する事。
相手の舎弟範囲から出てしまえば、銃兵は再びこちらを射程に入れる必要があるだろう。
死体からライフルを取り出す。
使い方は分からないが、弓矢とは違い構えを解除する時の難しさが窺える。
弾切れになると弾の装填をする必要があるというデメリットもある訳だ。
ジェイクはライフルをゆっくり落とした。
クロガネ色のライフルが地面に落下したその瞬間。
そこからジェイクは消滅していた。
正確には物凄い早いスピードでもって移動している。
銃兵達は幻惑ではあるが、それぞれがパニックになっている。
ジェイクは走り続けながら、敵を視覚に捕らえると銃兵の頭に矢を飛来させる。
矢は銃兵の頭を串刺しにすると、消滅する。
武器変換で使用した矢が矢筒に戻ってくれるという便利機能がある。
銃兵達はそれぞれで連絡し合い倒された仲間の代わりにフォローに入ろうとしている。彼らはジェイクを探していた。
戦国武将、ヴァイキング、円卓の騎士、破滅の魔女の時はこちらが不利な状態だった。
今は先手必勝とばかりに敵を弓矢で射殺していた。
「30~っと」
30人の銃兵を射殺する事に成功する。
ジェイクは自分の力を過信していない。
弓矢で倒せるから、剣で倒した方が楽だしとは思わない。
なぜなら相手が遠距離攻撃タイプであり、こちらがアサシンのように敵を暗殺出来る訳ではないのに、接近戦するという事は自殺しに行くような物。
だってウサギがこちらに向かって走ってきて、ライフルで射殺するなんてとてつもなく簡単な事なのだ。
ジェイクはそこを理解している。
なので油断は一筋もしない。
ひたすら弓矢で相手を暗殺し続ける。
「60~っと後40~」
敵が40人になる頃になると、彼等はフォーメーションを取る事をした。
1人が倒されたら、それをフォローする人がいて、そいつがこちらを攻撃出来るというフォーメーションであった。
「ふむ、考えたな」
ジェイクの独り言が木霊する中、彼はそのような小細工などどうでもいいとばかりに矢を放つ。
矢は1人の銃兵の頭を射殺す。2人目がこちらの居場所を把握、そこにはジェイクはいない、銃兵の後ろにいたのがジェイクで、剣で串刺しにする事に。
接近したら殺される。
それを理解しているが。相手がこちらの居場所を把握した瞬間、銃兵の後ろにジェイクがいるとは誰も考えない。移動スピード上昇を使用した事により、2人目をいともたやすく倒す事が出来る。
そのヒット&アウェイを続けながら、最後の1人にとなった。
そいつはぼろぼろのヘルメットを着用しながら、こちらを見ていた。
子供のような顔、いや子供なのだろう。
彼は真っ直ぐな瞳でこちらを見ている。
そして彼はライフルで自分の口の中に入れると。
「こら、待て」
虚しい銃弾が1人の少年の首を破壊した。
口から大量の血を噴出させながら、こちらを見てにこりと笑う。
あまりにもあまりにもこれが幻覚だとしてもひどすぎる結末だ。
【彼等は国王の為なら死ぬ。彼等は殺されるくらいなら死を待つより自分で死ぬ。それが最悪なシナリオだとしてもね】
「ネビルガ師匠はこいつらと出会った事があるんですか?」
【ああ、あるよ、君も行けるようになる。わしと君の力は同じなのだから、さて、解除するよ】
そこは1つの部屋であった。
椅子に座っていた僕は覚醒した。
どっぷりと深い眠りについていたようだった。
ふと気付くと目の前の椅子にはネビルガ師匠がいた。
壁に掛けられている時計を見ると、この部屋に入ってから2時間程度しか経っていなかった。
あちらには時計がなかったけど、今の3倍はしたと思う。
ネビルガ師匠がまだ目を瞑っているので、ジェイクはスキルポイントを調べる事になんとそこには50万がフルになっている。
たった2時間で50万ポイントにするのは不可能だろう、恐らく数日はかかると思う。
だがネビルガ師匠の方法を行ったおかげでジェイクのスキルポイントはフルになった。
(やはりこちらでは数時間でもあちらでさらに長ければあちらの時間経過が優先されるみたいだな、それを利用したこの方法は凄くずる賢くてチートだよ、まぁそういう事も必要なのかもな)
ジェイクが心の中でそう呟いていると。
ジェイクは【スキル習得ブック一覧】で習得可能条件を見ようと思ったのだが。
少しずれている事に気付く。
先程の幻惑なのか幻覚なのかよく分からないが、それの作用で沢山のスキル習得条件が満たされたのではないかと思っているし、レベルを40に上昇させたおかげでも習得条件が満たされた奴もあるだろう。
ジェイクはわくわくしながらスキル習得可能一覧を見る事にした。
ちらっと見て絶句して発狂した。
それにびっくりしてネビルガ師匠が跳ね起きた。
「師匠、う、嘘だよねこれえええ、尋常じゃない量のスキル習得可能何ですけどおおおお」
「そ、そうか、眠りの妨げはやめろ、というか眠っている場合じゃなくて、修行の成果は出たのか?」
「出ました」
ネビルガ師匠とジェイクはキラースマイルを浮かべながら。
彼は取り合えずと呟き。
「50万なら片っ端から覚えても問題ないぞ、スキルコンプリートを目指すのだろう? そんな気がした」
「はい、師匠、ちょっと待ってください、今椅子に座って吟味しますから」
「わしは顔を洗ってくるよ、ちと今回の魔法は苦手分野だったのでな」
「それは失礼しました」
もはやジェイクは興奮したいのであった。
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