第11話 時間経過修行
水の魔法を炸裂させ続けた。
最初は水の風船であった。
それが爆発すると四方に衝撃を浴びせるものであった。
それが下位のそれである。
それから何度も何度も続けた。
この世界には時計が存在しない。
体内時計だけでも既に3日は経過した気がする。
この謎の空間から出る事は出来ない。
炎のドラゴンを分裂させる所までで炎魔法をしっかりと習得した。
しかし水が難しい、まだまだ水魔法は下位である。水魔法の風船で爆発させるくらい上達したが。
いつしか絶望が脳裏をよぎった。
それでもネビルガ師匠は諦める事を知らない老人であった。
【ちゃんと想像しろ、頭の中で何が水そのもので足りえるかを考えるのだ】
「はい、師匠」
意識を集中させる。それは水の玉のようなものが出来る。
また失敗したかと思った。
しかしふと認識を変える。
水とは亀みたいだった。
認識の違いつまり水が亀のように丸いものだとジェイクは思っている。
なら水が爆発するのではなくて、その水の塊そのもので攻撃すれば。
それは亀が回転するような水の塊だ。
ぐるぐると回転しながら、真っ直ぐに飛来するがレーガンティアとなっている村長はそれを容易く回避する。しかし亀になった水の塊はそこに追跡し続ける。
レーガンティアは必至で逃げるも、亀にタックルされると、そこでようやく爆発する。
レーガンティアの村長は爆風に巻き込まれて消滅した。
「はぁはぁ」
ジェイクは集中のし過ぎで頭が割れそうになっていた。
だけどネビルガ師匠は問答無用で次と話し出す。
【次は回復魔法と行こうではないか】
いつしかジェイクは黙って修行をするようになった。
それは集中力を少しでも逃がさない為でもある。
ネビルガ師匠も無駄口を叩く事は無くなってきた。
右手と左手に回復の光を掲げる。
今までの回復魔法の後、その光に直接触れる必要があった。
しかしイメージの変換で竜眼剣を引き抜く、それもきっと幻影なのだろうけど。
そこに回復魔法を竜眼剣に付与するのだ。
剣そのものを回復魔法そのものにする。
ジェイクはレーガンティアの元へと走り出す。
敵も近づいてきたら離れるようにインプットされているので、逃げ続ける。
ジェイクには【移動スピード上昇Sランク】があるので、あっという間に追いつくと、竜眼剣で両断していた。
だが両断された場所はみるみるうちに回復していく。
怪我をしていたわけではないが、回復作用が発動しているのは分かる。
次に回復魔法を雨のように降らせる事も出来るし。回復魔法を投げる事で、遠く離れた人を回復させる事が出来る。
色々な回復のさせ方を自分自身で集中しながら見出していった。
ゆっくりと目を開けた。
するとそこには老人のネビルガがいた。
彼はこちらを見てにこりと笑ってくれた。
「魔法については完璧だ。次の修行までご飯を食べて力を蓄えろ。お主のネイリちゃんが作ってくれたぞ」
「あれ? たった数時間しか経ってないのですか?」
「幻影の世界とこちらの世界の時間軸は君の集中力で決まる。君の集中力があまりにも桁外れだから、あちらではとてつもなく長く感じたであろう」
「なるほど、凄く驚くべき事です」
「そう言うなや」
ネビルガは立ち上がると居間の方に向かう。
ジェイクは咄嗟にスキルポイントを確認した。
すると10万ポイントに溜まっていた。
これには驚愕するしかない。なぜなら残り数千くらいだったはず。それから上昇しても数万だろう。
それがフル回復するとは。
これで色々と問題は解決しそうだ。
ジェイクはネイリが作ったであろう食事を食べる事となった。
ネイリはにこにこしながら、牛乳で作られたシチューを用意してくれていた。
「美味しい」
「わしもこんなの久しぶりじゃ」
「そうですかぁ?」
いつしかネビルガは結界のようなのを解いて、ネイリにもこの屋敷の本来の姿を見せていた。それは豪華な屋敷という姿で、ボロボロの姿が偽物である事を明白にすると。
ネイリは驚きのあまり感動してくれていた。
それを見ていたネビルガは1人の少女を騙す事が出来て嬉しそうにしている。
シチューの中には色々な肉があった。
牛肉と羊肉が入っていた。
どうやらネビルガさんが製作した冷蔵庫と呼ばれる入れ物に入っていたそうだ。
その中では氷魔法が永遠に作動し続けて、肉などを腐らせない効果があるという事。
今までの人々は凍える地下室に食料保存する人ばかりであったが、この冷蔵庫の仕組みを発表すればぼろ儲けは間違いないだろう。
「金ほど恐ろしいものはないのじゃ」
どうやらネビルガ師匠はそういう事をした事もあるみたいだ。
だけど上手くいかなかったようだ。
きっと欲望にまみれた人と出会ってしまったのだろう。
ネビルガ師匠は人がいいから騙される事だってあっただろう。
そこの所はジェイクも気を付けなくてはいけない事だと思い始める。
牛乳はきっとモゼス町から購入したものを冷蔵庫に保管していたのだろうし。
「いつもネビルガ師匠は何を食べていたのですか?」
「そうじゃな、牛乳にパンを入れて食ったり、パンで焼いた肉を挟んで食ったりな」
「よくそれで健康を保てましたね」
「牛乳の栄養が凄いあるからのう」
「なるほどです」
ネイリがその光景を見てくすりと笑っている。
「まるで祖父と孫みたいですわ」
「どうですかな」
「そうじゃろうか、ふぉふぉ」
ジェイクとネビルガは声高らかに笑っていた。
「そうじゃな、スキルポイントはどのくらい溜まった?」
「はい10万ポイント溜まりました」
「では5万ポイントを使用して最高値を50万ポイントにしてくれ」
「はい、今やってます」
最高値を再び確認すると50万ポイントとなっており、現在のポイントは5万となっている。
さらに時間が経過するのでポイントが勝手に上昇を始める。
「そして残った5万ポイントを全てレベルに使うのじゃ」
「了解しました」
「お主は理解しているか知らないが、レベルがある程度ないと習得可能にならないスキルもあのじゃよ」
「それは知りませんでした」
「スキル習得もレベル上昇も武具製作も全て繋がっているそれを覚えておくように」
「了解しました師匠」
「では食事の後はまた修行といこう」
「食器洗いは任せてくださいご主人様、もちろんネビルガさんの食器も洗いますわよ」
「ありがとうネイリ」
「すまぬのうネイリさん」
次に入った部屋は別な部屋であった。
「まずはレベルを上げておけ」
ジェイクがレベル上昇をさせるのに遅れていると指摘してきたので驚いた。
ちゃんと何度も鑑定しているのだと思った。
レベルは25から40となった。
このレベル帯だと1レベル上げるのに3000ポイントくらいのようだ。
細かい端数のポイントが残る程度になると。
習得可能スキルに色々と追加されていっているようで、それを一刻も早く見てみたいのだが。
「次に修行で色々と分かるから楽しみは取っておけ」
「はい師匠」
ネビルガ師匠が言い放った言葉にジェイクはただ頷くだけ。
次の修行がどのようなものであろうと、生半可な覚悟では痛い思いをするだけだと、先程の修行で学んでいる。
この豪華な屋敷はまるで僕達のようなスキルを持った人の修行の場所の為だけに作れたようでもあった。
もしかしたらネビルガさんは他に特殊なスキルがあるのではないだろうかと疑うようになっていた。
特殊スキルは普通では覚える事が出来ないスキル。
ジェイクは通常スキルを全てコンプリートさせるつもり。
さぁてどうなるか。
ジェイクは目の前の扉を見つめていた。
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