第12話「隣のカーテンの中で 王女マリー=テレーズ①」
皆様、ご機嫌よう。
私はマリー=テレーズ=ルボンと申します。
今を時めく13歳ですの。
ランス王国第一王女で、リアンお義兄様の義妹です。
実は私、目の前が真っ暗ですの。
あ、誤解の無い様に言いますと、ポケ○ンセンターに戻される途中ではありません。
訳あってカーテンの中に隠れているので物理的に光が遮られて真っ暗という意味です。
まあ、正直言って私の未来も明るくは無い……というか……ああ、未来も暗いですわね、真っ暗ですの。
全く、未来も目の前も真っ暗とは何という皮肉なのでしょう……フフ……鬱ですの。
さて、ではお義父様達が来るまでまだ少し時間があるようですから、少しお話を致しましょう。
まず、なぜ王女たる私がこんな事をしているかと言うことにについてです。
それは、勿論お義兄様の為です。
実は私の愛するリアンお義兄様は少々おイタが過ぎまして、お義父様達に呼び出されてしまったのです。
私、心配で心配で、いてもたってもいられず自ら行動してしまいました。
普段ならプロであるレオニーなどの暗部を動かして情報収集をさせて、その情報を元に計画を立てるのですが、今回は内容がお兄様の将来に直結するものでしたので、我慢が出来ませんでしたの。
感情的に動いてしまうとは我ながらまだまだ未熟者ですね。
まあ、愛するリアンお義兄様の為ですから後悔はありませんが。
兎に角、私はこれから行われる話し合いの内容を確認して、出来る限りの事をしなくてはなりません。
何故ならば、今回お義兄様が起こしてしまった事態はただでは済まないものだから。
確かに、リアンお兄様はちょっと頭がパーなところはありますが、まさか阿婆擦れ女に唆されて本当にセシル姉様との婚約を破棄するだなどと、困ったものです。
フフ、でも手のかかる子ほど可愛いなどと言いますし、ある意味、私にもチャンスが巡ってくる可能性があるので悪い話では無いのかもしれません。
ですが、セシル姉様を傷つけるのは幾らお義兄様でも許せません。
今度メッてしないと。
話を戻しますが、兎に角今回は公衆の面前で王家とスービーズ公爵家を巻き込んだ大騒動を起こしてしまったので、処分も相当なものになるはずです。
ですので、この後に私がうまく立ち回って少しでも処分が軽くなるようしなければならないのです。
今までと同じように。
でも、それも今回が最後です。
あ、いえ、決して私がリアンお義兄様をいい加減に見限ることにしたとか、そういうことではありませんよ?
この私が愛するリアンお義兄様を見捨てるなど天地がひっくり返ってもあり得ません。
普通の方ならとっくにそうしているのかもしれませんが……ね。
やはり私、駄メンズ好きなのかしら?
おっと、失礼いたしました。
で、実は残念ながら……よんどころの無い事情でコモナ公国へ嫁ぐことが決まっていますの。
そう、これこそが私の未来が暗いといった理由なのです。
私は愛するお義兄様と離ればなれになるなって、30過ぎの顔だけ成金ロリコン男の物になるのです。
まあ、ロリコンと言っても幼女が好きなわけではなく、15.6歳ぐらいがストライクなのだとか。
なので私は青田買い、先行投資ということのようです。
王族の義務だと割り切ってはいますが、やはり嫌なものは嫌です。
それに、欲を言えばお義兄様には私の嫁入りを反対して欲しかったです。
実際に縁談が破談にならなくても、好きな人に何か行動して貰えてたら……なんて思ったり。
結局、特に何もしてくださらず、一言「マリーが居なくなると寂しくなるなぁ」だけ。
これだけ尽くしたのですからもう少し何かあってもいいのではないですかね!
女として少し切ないです……。
勿論、愛しては下さっていますよ?家族として。
やはり幾ら愛して下さっていてもそれは義妹としての、家族愛。
義妹という立場と年齢という壁は高く、女として見てもらうことは難しいとわかっていましたが、中々辛い現実でした。
それでも、お義兄様を残して旅立つなんて嫌なのです。
お義兄様以外の男に抱かれてるなんて嫌。
嫌、嫌、嫌……。
ああ、それに心配ですの。
今後は私がお義兄様を近くでお助けすることはできませんが、セシル姉様を信じて旅立とうと断腸の思いで嫁入りの準備をしておりました。
それなのに唯一の味方であるセシル姉様を自ら切り捨てようなんて……。
全く、困ったちゃんなんだから。
あら、足音が……お義父様達が漸くいらしたよう……え?セシル姉様!?とレオニー?
そしてレオニーはセシル姉様をカーテンの中に隠して出て行きました。
ああ、全くレオニーはクールな顔してお節介焼きなんだから。
②へ続きます。
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