第4話 カナタ、ステータスを見る
カナタは屋敷の外に魔力を流し、屋敷の外の様子を【魔力探知】で把握する日々を送っていた。
人物図鑑にはファーランド伯爵領の領民の名前までもが追加され、植物図鑑、動物図鑑、魔物図鑑と別の図鑑も増えて行った。
地図もファーランド伯爵領内であれば、既にカナタには知った場所となっていた。
まあ、領民の名前など、覚える必要のないものはカナタも記憶することなくスルーしていたが……。
いやむしろ、知っていはいけない個人情報が見えてしまうこともあり、意図的にスルーしたと言った方が良いかもしれない。
だが、何か事ある時は人物図鑑を使えば、いつでも必要な情報を取り出せる状況だった。
身体の方も、向上したステータス――と言っても一般人並みだが――とリハビリによって、かなり動けるようになって来た。
「そういえば、僕のステータスってどうなってるんだろう?」
この世界では自分のステータスを開くように念じることで自らステータスを見ることが出来る。
今までは、あまりに酷いステータスのため、カナタは自ら積極的にステータスを見ることがなかった。
父からスキルオーブをもらい開ける作業の時、万が一ステータスに変化があるかもしれないと見させられたステータス開示は、その後の落胆とセットだったので辛いものがあった。
だが、今はレベルもアップしているし、新たにスキルも覚えている。
カナタもステータスの中身に興味が湧かない訳がなかった。
むしろステータスを見ることを忘れるぐらいのカナタの境遇こそ特殊すぎたと言えよう。
「ステータス!」
カナタは生まれて初めて期待を込めてステータスを見た。
名前 :カナタ=ミル=ファーランド
種族 :人間 年齢:10才 性別:男
職業 :魔術師 (勇者)女神の加護により隠蔽中
レベル:3
体力 :10/10(100,000)呪いにより低下中
魔力 :10,000/10,000(1,000,000)呪いにより低下中
幸運 :-3(+47+100(ガチャバカ一代補正分))呪いにより低下中
状態 :筋力低下 関節障害 成長不良 (呪いの余波)
Nスキル:お財布 生活魔法 図鑑Lv.2 MAPLv.2
HNスキル:魔力操作Lv.1
Rスキル:身体強化Lv.1
SRスキル:時空魔法Lv.1(5)呪いにより低下
URスキル:魔力探知Lv.1
LRスキル:
GRスキル:携帯ガチャ機
称号:ガチャバカ一代 (勇者)女神の加護により隠蔽中
加護:女神ソフィアの加護(小)
取得魔法:
装備:
所持品:
所持金:2万3千5百DG(1億2万3千5百DG)女神の加護により隠蔽中
「はい?」
カナタは焦った。
そこには今まで見たことが無い、いや今までの自分とは明らかに異なるステータスが表示されていたのだから。
名前、種族、年齢、性別はまあ良いとしよう。
今までは無職だった職業に魔術師が出たことは嬉しい。
魔力探知を使い続けたおかげだろう。そのおかげでレベルも上がったのだ。
いつのまにか
これのおかげで魔術師の職業を得たのかもしれない。
【魔力操作】は魔術師になるための必須スキルだからだ。
しかし、その後ろが問題だった。
「(勇者)女神の加護により隠蔽中ってなんだ?
いつ僕は勇者になったんだ?
女神さまの加護って?」
カナタは混乱するばかりだった。
見るからに異常なステータスで、人様に見せられない項目があり、それが尽く隠蔽されている。
勇者の職業と称号を女神が加護で隠蔽してくれているのは、今後の生活のためだろう。
寝たきりの勇者なんて世間にどう説明したらいいかわからないだろうからだ。
「呪いにより低下中って?」
おそらく()内の数値は勇者として得た本当の数値なのだろう。
それが呪いによって一般人レベルまで低下している。
幸いMPだけは低下しても宮廷魔術師クラスなため【魔力探知】が出来た。
そして自重しない魔力探知が更なるMPの上昇を招いているのだろう。
「あ、状態に(呪いの余波)ってのが隠蔽状態であるぞ。
僕って呪われていたのか!」
カナタは生まれてからこれまでの不幸な出来事の数々が呪いによるものだと初めて気づいた。
「余波ってことは父様が受けた呪いのこと?
思えばつじつまが合うな」
カナタはある出来事を思い出した。
辛い闘病生活の中、すこぶる調子が良い時があった。
それは、父アラタが辺境への魔物討伐で領地を離れた時だった。
(もしかすると、父様から離れると僕は呪いの影響が弱まるのかも……)
一考の余地があった。
だが、今のカナタでは屋敷を出ることすらままならなかった。
「ん? これは!」
カナタが目にしたのは
【身体強化】MPを消費し筋力を増大する(実際の身体も多少筋肉質になる)
「おお! これで僕も歩けるようになるかも」
リハビリの効果でスキルが生えて来たということだろう。
カナタは【身体強化】スキルにより、ついに歩くことが出来るようになるのだった。
「ところで、称号のガチャバカ一代って何?
1億DGって?」
カナタの疑問には誰も答えてくれなかった。
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