第71話 盗賊3

草むらから現れたドリアードのクロリス。


「え?」


クロリスを見てモモカにナイフを突き付けられた盗賊が驚く。


ズルズルズル……。


クロリスは蔦を掴んで引き摺っていた。


その蔦には……。


7人の盗賊が蔦に絡まれて引き摺られていた。


「ば、馬鹿な!!!」

驚き戸惑う盗賊。


「うがっ」

「ぐもももも」

「もごもご」

口にも蔦が巻かれて、喋る事が出来ない引き摺られている盗賊達は、痛みに堪える苦痛の表情をしていた。


「クロリス、有難う。リャンゾウ、盗賊達を気絶させてくれ」


(了解だキュ)


バリバリバリ!


リャンゾウが光ると盗賊達は一瞬で気絶した。


「さて、身ぐるみ剥いじゃおう。盗賊の持ち物は貰っていいんだよね?」


ソウタは近くの盗賊から武器を奪い、鞄やポケットを漁る。


「そそ、捕まえた人の権利です」


モモカが早速一人の盗賊の身体を調べて、武器や金目の物をアイテムバッグに収納していた。


「さて、盗賊の持ち物は次の村で売るとして、コイツらはどうしよう?」


「殺しましょう。逃がすのは有り得ません。ここで見逃せば善良な旅人が犠牲になったり、罪もない人達が奴隷にされたりします」


モモカは奴隷だった自分を思い出したのか、涙を浮かべながらソウタに訴える。


「ん~、殺すのはイヤだなぁ。……次の町に連れて行こう、犯罪奴隷として売れるんだよね」


「えええええ」

モモカは不満そうだが。


「そうね。お金に替えるのも一つの手だわ。急ぐ旅でもないしね」

ナナミは了承した。


「と言う訳で……。クロリス、足だけ動かせるようにしてね。自分達で歩いて貰おう」


「分かったわ」


「ところで眷属か従魔の鳥がいたよね?」


「あ、あれじゃない?」

一人の盗賊の肩に止まっている、インコの大きさの小さくて青い鳥の魔物を見つけて指差すモモカ。


「この子はどうしよう。従魔になんないかなぁ?」


「どうだろうねぇ。良く分からないわ」

ナナミもモモカもテイムには詳しく無いのだ。


盗賊達が目を覚ますまで休憩したソウタ達は、盗賊達が覚醒すると蔦を引き次の町を目指した。


盗賊達は口に蔦が巻かれているので喋る事は出来ない。


立ち止まり抵抗する者もいたが、クロリスが強引に引っぱると、周りの盗賊を巻き込んで倒れる。そして、そのままクロリスに引き摺られていく。


そんな仲間を見て、引き摺られて痛い思いをするのが嫌なので、必死にソウタ達についてくる盗賊達。


しかも尿意を催しても喋れない為、訴える事が出来ず。必死でアピールしてもソウタ達は気付かず、結局垂れ流しながら引き摺られていく盗賊達。


元々お風呂にもあまり入らず臭いのだが、アンモニア臭で相当臭い事になっているが、気にせず引っ張る力持ちのクロリス。


そんなクロリスは精霊の力なのか良く分からないが、それ以外も盗賊達の臭いすらもソウタ達には届かないようにしているようで、休憩に入るまで盗賊の状態を気付かなかったソウタ達。


休憩に入る頃には盗賊達は相当酷い状態になっており、心が折れて泣きながら歩いているのであった。


しかも休憩に入っても、着替えの服があるはずもなく。モモカが睨んで食事を貰えるはずもなく。飢えを凌ぎながら横になり必死に身体を休めるのが精一杯の盗賊達。


盗賊達は早く町に着いて奴隷として売られる事が心待ちになっていた。


そんな状況で盗賊に青い鳥の事を聞いたら、何でも丁寧に教えてくれた。


盗賊にはテイムのスキルがないのに従魔にしていたので不思議に思っていたが、奴隷の首輪みたいな従属の足輪を着けていた。結局盗賊から青い鳥の魔物を快く譲って貰って契約したソウタであった。

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