第45話 採取士ギルドに戻ってきた

ビーカル伯爵居城の会議が終了し、採取士ギルドに戻って来たソウタとリャンゾウとコエザ。


「採取士ランク=冒険者ランクになるのは、良い提案だったね」


とソウタがコエザに言う。


「これで冒険者のアホどもも、採取士がダンジョンに入っても文句は言わんだろう」


うんうんと頷くソウタ。


「この都市以外では採取士の存在は、知らない人も多いから、自分達の自信にも繋がるし、他所に行ってもそれなりに通用するから、彼らも嬉しいはずだよ」


「そうだのう、勿論それも狙っておったのじゃ。それよりソウタの冒険者ランクがBと言うのは、評価が低く過ぎじゃな」


ソウタの冒険者ランクはBに昇格する事になった。Dランクからの2段階UPだが、コエザはちょっと不満そうだ。


「いやいや、子爵の叙爵も断りたいくらいだよ」


「それは国王からの褒美だから断れんのじゃ、伯爵からの褒美である領地も断るのは難しいのう」


「うん、本当は使い道は無いけど、お金の方が気楽で良かったよ」


「ははは、欲が無いのう。で、どうするのじゃ?」


「ヤコイケ村を貰うよ。ちょっと遣りたい事があるんだ」


「ほう、珍しく積極的じゃな」


「うん、その為に幾つか『翠露の迷宮』で入手してきた」


「なんじゃ?」


「コレと……」


ソウタはアイテムバッグから豊穣の杖を出した。


「どれどれ……」

コエザは鑑定の魔法で豊穣の杖を鑑定した。


「おお! 良い杖じゃだのう」


「後はこの子ね。出ておいで」


ソウタが呼ぶと、ソウタの斜め後ろにドリアードが現れて、ソウタの後ろから顔だけ出して、コエザをジーッと見詰める。


「おお! 木の精霊じゃな!」


「名前はクロリスだ。宜しくね」


ソウタがコエザに名前を教えて、クロリスをコエザの前に押し出して、頭を下げさせた。


「妾はコエザじゃ、宜しくのうクロリス」


コエザはクロリスの手を取って、優しく握手した。


その夜、ソウタが子爵に叙爵されて、Bランク冒険者になった事を皆に伝えた事で、皆は大変喜んで盛り上がり、ソウタの屋敷で宴会になった。


「ふぅ、疲れた」


バルコニーで夜風に当たるソウタ。

足元にリャンゾウがいて、腰にクロリスがしがみついていた。


「水を持ってきたわよ」


ナナミが水を持って現れる。


「有り難う、騒がしいのは疲れるよ」


「皆、冒険者ランクも貰える事になって、大喜びだったよ」


「それはコエザさんの交渉力の賜物だよ。ところで居城での事は皆に伝えたけど、領地はヤコイケ村を貰う事にする」


「ハハハ、ソウタが領主になったら皆ビックリだよ」


「そこで、薬草の畑を作るんだ」


「そんなに事出来るの?」


「多分ね。責任者はナナミだよ」


「えええええええ!」


「勿論、軌道に乗るまでは、俺も一緒にやるし、クロリスがいるから大丈夫だよ、コレを使って宜しく頼む」


ソウタはナナミに豊穣の杖を渡した。


「ウソぉ! なにコレ?」


「伝説級の武器であり魔道具の豊穣の杖さ」


「ええええええええええ!」

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