第33話 ダンジョンの立ち入り

近隣の森の薬草の生息地で、薬草を採取出来なくなった。その事でコエザに相談したソウタは、コエザからダンジョンで薬草を採取する提案を受けた。


ダンジョンで薬草を採取させたいのは、森の奥に行けない幼馴染のナナミと奴隷の子達だ。


しかし、ダンジョンは冒険者のランクがD以上じゃないと入れないが、ナナミ達は冒険者として登録していないので、登録するとEランクからのスタートだ。そうするとDランクになるまではダンジョンに入れない。


(さて、どうしようか?)


ルール通りだと、ナナミ達は冒険者登録させて、Dランクになるまで冒険者として、活動させて、その間、ソウタが採取する事になるが、今後採取士を増やした際、冒険者ランクがDランクになる事が、採取士の条件になる事が、ソウタは問題だと思った。


「コエザさん、ビーカル伯爵に相談して、冒険者登録をしないでも、ダンジョンに入れる様にならないかなぁ?」


「そうじゃのう、採取士ギルドのギルド長として、領主に申し入れはしてみるが、ダンジョンは危険だからのう。一定の基準を提示する必要はあるじゃろう」


「う~ん、そうかぁ。因みに騎士もダンジョンに入れるんでしょ? その場合の基準はどうなってるの?」


「騎士であれば入れるのう」


「新人の騎士でも?」


「そうじゃのう。その辺りは騎士団内で判断しておるのじゃろう。入れるのはあくまでも騎士の業務中だしのう。騎士団を休暇中に自由に入る事は出来んはずだ」


「成る程、採取士も同じ様に出来ると良いんだけどね」


「難しいじゃろうな。騎士は戦闘職じゃが、採取士は非戦闘職じゃからのう」


「そっかぁ。ところで、ポーターは冒険者ランクがなくても、ダンジョンに同行出来るよね?」


「そうじゃのう。非戦闘職のポーターはダンジョンに入れるのう」


「それは、ダンジョンに入れる資格がある者と一緒だからだよね。」


「うむ、そうじゃのう。しかし、ポーターと同様にDランク冒険者と同行しないと採取士が入れないとすると、Dランク冒険者になるまでダンジョンに入れないのと同じで、冒険者ギルドの許可がないとダンジョンに入れなくなるのじゃ」


「冒険者ギルドの所為で、ダンジョンに入るしか採取出来なくなったんだし、冒険者に依存するのは危険だよなぁ。今一冒険者って信頼出来ないんだよねぇ」


「まあ、そうじゃろうなぁ。冒険者達はソウタの事を見下していたからのう」


「取り敢えず、採取士ギルドでもダンジョンの立入許可が出せる様に、ビーカル伯爵に相談しましょう。それが決まるまでは……」


ソウタは思案する。


「俺か、ナナミ達に戦闘訓練をしてくれてる元冒険者のヤフジさんに同行して貰おう」

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