第29話 採取士ギルド設立

公開裁判の後、ソウタはコエザに同行して貰って領主の居城に行った。


そこで、文官のポセン・ジャクア・メホンから報酬を受け取り、与えられた屋敷の場所を聞いた。


文官ポセンはソウタ担当として、領主とソウタの窓口になる様だ。


屋敷には、執事とメイドが領主より派遣されるらしい。


その後、採取士ギルド設立に関する打合せを行う事になった。参加者はソウタとコエザに、文官のポセンと商人ギルド長ニーオヤ、錬金術ギルド長ヒンマル、冒険者ギルド長コヤマザの6名だ。


領主の居城の会議室で打合せは行われた。


結局、いきなり大規模なギルドには出来ない為、小規模な形でスタートする事になり、各ギルドから人員を派遣してスタートする事になったが、ソウタが知らない人とあまり話が出来ないので、会議ではほぼコエザが代弁する形で行われた。


その様な事情で派遣する人員もソウタの強い希望で、知っている人を派遣して貰う事で押し通した。


錬金術ギルドからはコエザ、

冒険者ギルドからカモリナ、

商人ギルドからジメイが派遣される事になった。


それから、ヤコイケ村から採取士として幼馴染みのナナミが呼ばれた。


「ソウタ! 久しぶりー。」

「お、おう……」


数年ぶりに会ったナナミは、小さい頃の面影はあるが、少女から大人の女性になりかけていて、綺麗になって、ちょっと緊張するソウタだ。


「あら、ナナミさん、ソウタ様は男爵に叙爵されてますので、呼び捨てはいけませんよ」


カモリナがナナミに注意する。


「ええええええ! 男爵? ソウタ男爵……」


「ははは、呼び捨てでも良いよ」


「いや、そうはいかんじゃろ、外聞が悪いのじゃ。ソウタ様か、最低でもソウタさんぐらいにしておくのじゃ」


コエザもカモリナに同意する。


「……ソウタ様。……ソウタさん」


ナナミは小さな声で何度か繰り返していた。


採取士ギルドはコエザがギルド長になった。ソウタでは交渉事が苦手で、ギルド長が務まらないからだ。


経理担当にジメイ、受付と事務にカモリナ。採取士がソウタとナナミ。後は新人の採取士を育てる必要があるのだが……。


錬金術ギルドや冒険者ギルドから採取士希望者が来たが、全て断った。


ソウタより年上の人や、年下でも冒険者はソウタが教える気にならなかったからだ。


「どうするのじゃ」


「むむ、年下の子なら話せる気がする。でも冒険者はちょっとなぁ」


「ふむ、しかし危険な場所にも採取しに行く必要があるじゃろ。リャンゾウがその都度ついて行く訳にもいかん。戦う力はあった方が良いのじゃ」


「それは分かるんだけどね……」


「それでは、奴隷なんてどうですか? 商人ギルドで融通がききますよ」


ジメイが提案する。


「奴隷かぁ……、良いかも」

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