第20話 狂鬼1

「おい!『草毟り』今日は薬草を沢山毟ったか?」


Cランク冒険者パーティー『狂鬼』のリーダーであるカイズ・ミセイがソウタに声を掛けた。


「ひゃ、ひゃい?」


ソウタは急に話し掛けられて驚いた。


(はぁ、ビックリした。『草毟り』って俺の事?)


「俺はCランク冒険者パーティー『狂鬼』のリーダー、カイズだ」


「同じく俺はカイトだ。いつも俺達がモンスターを倒してるから、お前が安全に薬草を採取出来るのを知ってるよなぁ」


『狂鬼』のサブリーダーであるカイト・ウセイもソウタに話し掛けた。


「はぁ?」


(何を言ってるんだ。言ってる意味が全く分からないぞ。何で、此奴らのお陰で俺が安全何だ?)


「同じく俺は『狂鬼』のウユーだ。いいか今日はその日頃の恩に誠意を見せてみろ」


『狂鬼』のウユー・ハミカクトがソウタの後ろから声を掛けたので、思わず振り向くソウタ。


「せ、誠意?」


(日頃の恩? 誠意? 何を言いたいか、全然分からん。だけど嫌な感じなのは、良く分かるぞ)


「おらはカカメだ。『草毟り』が今日採取した薬草を置いていけ。おら達が貰ってやる」


『狂鬼』のカカメ・ダセイがソウタの横から話し掛けた。


「俺はカクラ、そう言う事だ。狩りもしねえで草毟りばっかりしてるんだろ。命を懸けてる俺達に感謝して、今日の報酬を差し出せ」


『狂鬼』のカクラ・ウンセイが最後に威圧しながらソウタを脅す。


5人の冒険者に取り囲まれて、四方から次々に脅されて、すっかりビビっているソウタだった。


「お、俺が……、採取した……、物は、俺の──」


ソウタが一生懸命拒否しようと言葉を出そうとしたら、大声で遮られる。


「おい! 違うだろぉ! お前のモノは俺達のモノ。俺達のモノは俺達のモノだぁあああああ!」


「はひぃ……」


(何だよぉ。全く、何でこんな事になってんだよぉ)


「さぁ! 出せぇ!」

「早くしろぉ!」

「ちっ、どんくせぇなぁ!」

「痛い目にあいてぇのか? あ゙ぁ!」

「サッサとしろよぉ!」


剣を抜いたカイズ。すると他のメンバーもそれぞれ武器を出した。


「ひぃいいいい」

焦りまくるソウタ。


すると、雷獣のリャンゾウが念話で話し掛けてきた。


(ソウタ、怖がるな。俺がついてるキュウ、此奴ら殺すかキュ?)


(こ、殺すのはちょっと拙いよぉ)


(じゃあ、死なない程度に遣っつけてやるキュ)


「なにモタモタしてんだよぉ! 早く出す物出して楽になれよぉ、なぁ!」


カイトが剣を顔面蒼白のソウタの頬に近付けた。


その時、リャンゾウが光った。


カイトに雷撃が飛び、カイトは白目になって泡を吹いて倒れた。


「カイト! 大丈夫かぁ」

「てめぇ、『草毟り』の従魔の癖に生意気なぁ!」


「キーキー」


リャンゾウは目にも止まらぬスピードで、『狂鬼』のメンバー達を雷撃で気絶させていった。


ソウタの周りで倒れる5人。


(今だ、逃げるキュ)

(そ、そうだね)


ソウタとリャンゾウはその場を逃げ出した。

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